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ゆきのはな

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27.【泡沫のウタ】

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2023年08月05日

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「いやー上手くいくもんだな」


薄暗い体育倉庫。

そこは男子生徒たちの溜まり場になっていた。


「頼まれた時はどうしようかと思ったけど、小谷のメタモンのおかげだな」


「だろ?あれは完璧な立花美希だった。なぁメタモン」


「メタァ」


クスクスと響く笑い声。

メタモンはくねくねと体を揺らした。


「まんまと立花美希を犯人に仕立て上げられた訳だけど、あいつは何か言ってたかダイ?」


「あぁ。褒めてくれたよ。タツキも立花美希の写真を撮ってきてくれたし。2人とも協力ありがとう。後で報酬も渡すから」


「やったぜ」

「持つべきものは友だな」


そんな会話をしていると、



「動くな」



突然ダイと呼ばれた男子生徒の喉元に背後から物差しが突きつけられた。


ひっ、と息を漏らすダイと、音もなく現れた少女に体を仰け反らせる小谷とタツキ。


「お前らが真犯人か」


赤髪の少女はマフラーで口元を隠しながら、鋭い目で男子生徒たちを見る。


「な、何だお前!」


「無駄口を叩くな。質問にだけ答えろ。お前らが立花美希を犯人に仕立て上げたのか」


「ち、違う!俺たちじゃない!」


赤髪の少女、雪乃はキッと側にいたメタモンを睨んだ。

メタモンは縮こまり、形を変える。


それは、完璧ではない立花美希の姿だった。


「今の会話も録音済みだ。大人しく投降しろ」


そう言うと、物差しを首に突き付けられたダイが笑って言う。


「でも立花美希は認めてるんだろ?犯行を」


「………」


「だったら証拠を突き付けたところで、どうしようもないんじゃないか?」


「………」


「仮にそれで俺たちが捕まっても、立花美希の居場所はあるのかなぁ?」


笑うダイは物差しを押しのけ、逃げ出す。

タツキと小谷もダイに続くように、体育倉庫から逃げ去っていった。



わかってる。


このままではダメだと。


真犯人は特定できた。

あとは立花美希次第…。


拒絶されてしまったが、それでも私は…。



雪乃は静かに、姿を消した。

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