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朝日が救護室の窓から差し込み、柔らかな光が部屋を満たす中、零はぱっと目を開けた。
「んあ~…おはようございますっ! いやー、寝た寝た! 俺の美貌が保たれてるか心配だったけど、鏡…どこ?」
零は片手で乱れた髪をかき上げ、ベッドに寝そべったまま冗談を口にする。その声の軽さに、一瞬周囲は呆然とするが、すぐにルナが額に手を当てて大げさにため息をついた。
「零さん、起きたばかりで鏡ですか…。もっと他に言うことがあるでしょう?」
「あるよ? 例えば――『昨日はちょっと本気出しすぎたな~。俺、やっぱ強すぎ?』とか?」
零はウィンクをしながらルナに指を指してみせる。その態度にガイアが肩をすくめながら口を開く。
「お前、本当に大怪我してたのかよ。こんなふざけた奴を俺たちは何時間も看病してたって思うと、なんか釈然としねぇな。」
「いやいや、そんなこと言わないでよガイア! 俺がこうして元気でいるのも、君たちのおかげなんだからさ!」
零は冗談めかしながらガイアの肩を軽く叩く。
救護室には他のメンバーも集まっていた。エルが緊張した様子で零の様子を伺っていると、零はふっと彼の方に視線を向けた。
「おっ、新入りのエルくん。どうだい? このカッコいい先輩を見て、将来の自分が重ならない?」
「え、えっと…カッコいいっていうか、その…無事で良かったです。」
エルが赤くなりながら答えると、零は声を上げて笑った。
「いいね~! 若いって最高だよなぁ。俺もこんな頃があった…かも?」
「ありえませんね。」
ルナが即座に突っ込むと、全員が笑い声を上げた。
笑いが落ち着いた頃、ルナが真剣な顔で零に向き直った。
「でも零さん、本当のところ、自分を大事にしてください。昨日のあの傷、普通の人だったら助からなかったんですよ?」
「わかってる、わかってる。ありがとね、ルナ。」
零は少し真面目な表情になりながら、ルナの頭をポンと軽く叩いた。しかし次の瞬間にはまた笑顔に戻る。
「でもさ、俺には神域のみんながいるでしょ? だから安心してどんな無茶でもできるんだよ。なにせ、俺は守られてるからさ!」
「…本当にどうしようもない人ですね。」
ルナは呆れた顔をして言ったが、その頬には少し微笑みが浮かんでいた。
神域のメンバーは、零が無事に目を覚まし、いつもの調子であることに心から安心していた。彼の明るさと軽妙さが、彼ら全員を支える一種の希望であることを改めて感じたのだ。
「さぁて、次はどんなトラブルが待ってるんだろうな?」
零は救護室の扉を開け放ち、明るい廊下に一歩踏み出した。その背中には、確かな覚悟とともに、彼らしい飄々とした空気が漂っていた。