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44 - 第44話 地震ふ

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2024年12月25日

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平和な午後。神域のメンバーたちは、それぞれの持ち場で任務や業務に取り組んでいた。零も、例によって特に何もせず、本部の休憩室でのんびりしていた。

「おーい、ルナ、何か飲み物持ってきてくれない?」

零はソファに寝転びながらルナに向かって手を振ったが、ルナはそれを完全に無視して資料に目を通している。

「零さん、自分で取りに行ってください。それが普通です。」

「えー、俺、重傷患者なんだよ? まだ全快してないんだし、少しくらい労ってくれてもいいんじゃない?」

零がふざけた声を出していると、ガイアが冷たい視線を投げかけた。

「重傷? どの口が言ってんだ。昨日から普通に走り回ってただろ。」

零が何か返そうとした瞬間だった――

突然、建物全体が大きく揺れ始めた。壁の額縁が傾き、机の上の資料が床に散らばる。

「地震!?」

ガイアがすぐに叫ぶと、ルナは手近な棚を押さえながら状況を確認しようとした。

「こんな揺れ方、ただの自然災害じゃない!」

零は最初こそ驚いていたものの、すぐにふざけた調子を取り戻し、ゆらゆら揺れる中で平然と立ち上がった。

「んー、やっちまったかもな。」

「えっ?」

ルナとガイアが同時に零を見つめた。

「だってさ、さっきちょっとだけ試してみたんだよね、俺の“アレ”。そしたら――」

「お前が原因か!!」

ガイアが怒りの声を上げるが、零は苦笑いを浮かべながら肩をすくめた。

「いやいや、違うって。多分、半分くらいは偶然だよ。ほら、たまたまタイミングが被っただけってやつ?」

「信じられるか!」

ルナが本気で怒り始める前に、さらに大きな揺れが部屋を襲った。

本部の外では、建物が耐震構造のおかげで無事なものの、周囲の街はかなりの混乱に陥っていた。道路には亀裂が入り、人々がパニックになっている様子が窓越しに見える。

「これ、放っておくとやばいね。」

零は窓際に立ち、外の景色を眺めながら呟いた。

「零さん、あなた、本当に…!」

ルナが言葉を続けようとした瞬間、通信機が鳴り響いた。

『緊急連絡班です! 街の地下から異常なエネルギー反応を検知しました!』

「地下?」

ルナが顔を上げると、零は楽しげに笑っていた。

「ほらね、俺じゃないでしょ? でも、行くしかないね!」

「お前の異能が引き金になったんじゃないのか!?」

ガイアが再び叫ぶが、零は既に窓から飛び降りていた。

地震の中心とされる地下施設。零、ルナ、そしてガイアが駆けつけると、そこには奇妙な装置が作動している様子があった。

「これ…自然の揺れじゃなくて、完全に人工だな。」

ルナが装置を睨むように見つめる中、零は適当にその辺を歩き回りながら言った。

「なるほど、誰かがこんな面倒なことしてるってわけか。俺たちを呼び寄せるためとか?」

「軽く考えるな!」

ルナが叱責するが、零は全く気にしていない様子で装置のスイッチに手を伸ばした。

「とりあえず止めとこっか。」

「待っ――!」

スイッチを押した瞬間、施設全体がさらに大きく揺れ始めた。

「おいおい、またやっちゃったかな?」

零の声は揺れの中でも妙に楽しげだった。


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