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会場に到着した4人は、受験者の多さに多少驚いていた。ざっと数百人だ。
しかし、これだけの人数がいたとしても、合格できる人はほんのひと握り。年によっては居ないことだってある。そんな狭き門を潜ろうとしているのだ。
「なんか緊張してきたぜ…」
「だね…でも頑張ろうね!!」
ゴンとレオリオが会話をしている。
その横でクラピカとクロロも話し込んでいた。
「相当な手練が何人かいるようだ…」
「そのようだな」
2人の目線の先には、道化の格好をした男がいる。ひと目でアレはやばいと分かる雰囲気をしていたのだ。
それもそうだろう。彼は昨年のハンター試験で1番合格に近いと言われていた人物だ。
しかし、その残虐な性格から、試験官を数名殺害。その後に試験を辞退した。
そんな男が今年もいる。
道化の男を知らないのにも関わらず、その雰囲気を感じ取ったクラピカとクロロもまた、かなり高い素質を持っているのだ。
道化の男の他にも、顔に針が刺さっている男や、坊主頭で無駄に大きな声の男などの実力者がいる。
「クラピカ、気をつけろよ」
「当たり前だ…。クロロも気をつけろよ」
初めてのハンター試験はきっと大荒だ。と思わざるを得ないクラピカとクロロであった。
試験が始まるのを待っている間、トンパという中年の男が話しかけてきた。
手にはオレンジジュースを持っている。
「喉渇いていないか?良かったらこれをやるよ」
そう言って手に持っているオレンジジュースを渡してきた。
トンパは隠しているつもりなのだろうが、ニヤリと笑った口元が見えてしまっている。
クラピカはオレンジジュースを開けると地面に流し始めた。
クロロも同様の行動を取る。レオリオもだ。
ゴンだけは、喉が渇いていないと言い、オレンジジュースをトンパに返していた。
トンパは引き攣った顔をしていたが良心は痛まない。何故ならば、あのニヤリと笑った顔は、何か良くない事を考えていたであろう事が分かる顔だったからだ。
トンパの背を見送っていると、オレンジジュースを強請る、ゴンと同じような背丈の銀髪の少年が見えた。
その少年はオレンジジュースを人飲みして、トンパに何かを話している。
途端にトンパの顔は引き攣った。あの少年は何者なのだろうか。
そんな事をしている間に試験の受付が終了し、試験が始まった。
「私はサトツと申します。これから皆さんには私に着いてきて頂きます。」
第1次試験は、サトツという試験官の後を着いていく、という単純なものだった。
しかし、そう簡単にはいかないのが現実である。
始めは、緩やかにスタートした。距離はとんでもないのだが、脱落者はおらず、皆が余裕を持って走っていた。
それを見たサトツは、段々と走るスピードを速めていく。
一人、また一人と脱落者が出ていく状況。
レオリオも息を切らし、ギリギリの状態で走っていた。
しかし遂に、レオリオは集団を外れてしまった。
近くを走っていたゴンと、いつの間にか仲良くなっていた銀髪の少年、もといキルアはレオリオを見つめていた。
「なぁ、ゴン。先に行こーぜ」
キルアがゴンに話しかけるが
「うん。キルアは先に行ってて」
ゴンはレオリオを見つめたまま動かない。
痺れを切らしたキルアはゆっくりと集団に向かって走っていく。
ゴンは少しの間、レオリオを見つめていが
突如、レオリオに火がつき集団に追いつくため爆走をかまし始めた。
ゴンはニコリと笑うと、レオリオの忘れ物を釣竿にぶら下げて後を追う。
ちなみにレオリオの忘れ物とは、持ち歩いているトランクである。
集団の中に戻ったゴン、レオリオ、キルアは、クラピカとクロロと合流していた。
そこでキルアはレオリオをおっさんと呼んでいたのだが、1つ衝撃的な事実を知った。
「お前ら!!揃いも揃って俺をおっさん扱いするけどな!!」
一呼吸置いたレオリオは続けて
「俺もお前らと同じ10代だっつーの!!19歳だからな!?」
青天の霹靂である。
そして、同い年であるクロロと見比べ始めた。
「すっげー、これで同い年なの信じらんないわ」
非常に失礼な発言をするキルアだが、それを注意する者はいない。
その様子を見たレオリオは
「どうせ俺は老け顔だよ…」
いじけた声を出している。
流石に可哀想だと思ったクラピカはすかさずフォローに入った。
「…私は好きだぞ…?その…なんというか…年季の入った顔…?が。」
その発言にレオリオは頭を抱え、3人は吹き出してしまった。
「それ、フォローになってねぇよ!!」
レオリオは叫び、ツボにハマったゴンとキルアは口を大きく開けて笑っている。
「お前、それは面白すぎないか?」
と口に手を当て笑いながらクロロはクラピカに尋ねた。
「う、うるさい!!私はただフォローしようとしただけだ!!笑わせようと思った訳では無い!!」
そう言い顔を真っ赤に染めたクラピカは走るスピードを速めた。
「可愛い奴だな」
クロロの小さな呟きを聞いた者は誰もいない。