テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
・じょうかぶです
・好きなんですじょうかぶが。あの組み合わせが好きなんです本当に。好きです!
・誤字脱字あります報告お願いします!
続くかもです
以上がよろしければどうぞ!
「……」
俺の名前は小峠華太……、仕事が忙しくて2週間ぶりに家へ帰る……中堅の…極道だ……
「し、しぬ……流石に死ぬ……、早く寝たい……」
眠気からか疲労からかは分からないがだんだんと視界が黒く染まってきている。
俺は頬をつねりながらフラつかせる足を自宅へ精一杯動かす。
そんな時だった。
「面倒だな…今日はここでいいか」
「……ぁ?」
俺の視界の端に1人、メガネを付けた黒髪の男性が座り込んでいた。
よく見ると肩に少量だが血がしみているため恐らく切り傷があるのだろう。
そしてこの雰囲気、明らかにカタギでは無い。
「…ぇっと…お前は……」
「……ん?何だ貴様は」
2週間の徹夜のせいで頭が回らない……確か……羅威刃の……
「えーっと……」
「…貴様、小峠華太か。丁度良い、前回の続きをするか? 」
そう言ってコイツは口角を上げた。
俺の事を知っているのか……でコイツは誰だったっけ……?駄目だ考えても分からん誰だこの人。
「……、、、」
「……」
き、気まずい、とてつもなく気まずい…。これでは埒が明かん。
仕方ない、これはもう聞くしかないな
「あー…っと…すみません、今眠気で頭が回らなくて……大変失礼ですが、どなたですか?」
「…は?貴様… ふざけてるのか?」
「ふざけてなんかいなくて……その、ほら俺隈凄いじゃないですか…本当に疲れてて…」
「……」
俺はできるだけ失礼にならないよう丁寧に説明すると、相手は軽くため息をついた。そりゃ眠いからと言い訳して自分が忘れられてたら呆れるよな。
しかし俺はとても眠い。正直意識を保ってるのもやっとなので早いとここの場から離れたい。こうなったら早いとこ話をまとめて帰宅しよう。
「ああ、あの時の!その節はどうも…、私、これから予定があるのでそろそろ行きます」
「貴様確実に思い出して無いだろ」
「いやいやそんな、話した時のことしっかり覚えてますよ!とても楽しかったです(適当)」
「…」
「…… 」
( 気まず……)
なんで黙るんだこの人。もしかして気まずい関係だったか?いやでもだったらわざわざ話しかけないだろうし……
そう考えていると俺の知り合い(仮)がため息混じりに呟いた
「…もういい、俺はここで休むから貴様は早く帰れ」
「え?」
なんと、この男はこのコンクリの上で野宿すると言い出したのだ。
今日の気温はいつもより暑くここで寝てしまっては蒸しあがってしまうし、今夜は雨だ。蒸されて濡れてで地獄を見ることになる。
見たところ金にも困ってなさそうだが……何かに追われているのか?それとも家を追い出されたとか……?
何であろうと訳ありなのは間違いなさそうだ。
このまま見過ごすのは知り合いとしては良くないだろう、……仕方ない
「えっと…貴方、帰る場所無いんですよね?」
「無いのではない、帰らないんだ」
(疲労で聞こえてない)「なら私の家来ます?狭いですけど寝る場所と食べ物位なら用意できますよ」
「貴様は何を言っているんだ」
「そうと決まれば行きましょう!ここから結構近いので」
ぐぐぐっ(城ヶ崎を引っ張る音)
「!?!?何だ貴様離せ!」
「早く行きますよっ!!」
「やめろ本当にやめろ!」
そう言って強引にこの人を連れ出そうとするが中々動かない。クソ、結構強欲だな
しかし俺も限界だ。こうなったら泣き落でもなんでもして連れて帰るしかない。
「…」
「おいっ、聞いているのか!早くその手を離し…」
(※読まなくていいです)
「お願いします私今やっとの思いで家に帰ることが出来たんです。14連勤ですよ14連勤。睡眠するの久しぶりってどういう状態か分かります?さっきから目の視点もぐわんぐわんしてなかなか合わないんですよ。本当この時間さえ惜しくて貴方がさっさと私の家に来てくれたらそれだけで私は救われるんです安いもんでしょう。せめて今夜だけは家に泊まってください貴方のためにも私の為にもお願いします何でもしますから」
「うおっ、…」
俺は彼の腕をぎりぎりと握りしめがら相手の目を見て少し涙目で訴えた。
すると彼は何か可哀想なものを見る目でこちらを見て、「はぁ」とため息をつきこう呟いた。
「…別にお前がどうなろうと知った事では無いが、確かにここで寝ては体を痛めてしまう。今回特別だけ寄ってやろう」
「…!あ、ありがとうございます…、本当に…、は、早く行きましょう…」
「さっさと案内しろ」
こうして俺は無事知り合いらしき人を家に連れて帰ることが出来た。
ガチャッ
俺は玄関のドアを開けて彼を家の中へ迎え入れ、敷布団を1つ床に敷いた。
「貴方はここで寝てください。私はカーペットにでも寝ます」
「…俺はカーペットでも構わん」
「寝てください」
「………」
すると彼は黙りながらも素直に布団へ潜り込んだ 。
そして俺も限界。硬い布のカーペットに倒れ込み小さく話す。
「…ありがとうございます。多分…私は起きるの……遅くなると思うので…起きたら好きに家のもの漁ぐって下さい…では、おやすみなさい…」
「……ああ」
「…… 」
こうして俺は眠りについた。
「……ぁ…」
そして俺は目が覚める。空の色からして時刻は午前11時頃。俺は案外早く起きれたことに安堵しながら怠い体を起こす。
ああ、そういえば昨日知り合いらしき人を家に泊めたのだった。もしかしたらまだ家に居るかもしれないな。
そう思って後ろを振り向くと、予想通り一人の男が壁にもたれかかって立っていた。
「あ、おはようございます。よく眠れましたか?」
「ああ。お陰様でな。」
「はははそれは良かったです。後で朝食もお作りしますね。あ、寝たおかげで頭がスッキリしてます。もしかしたら貴方のこと思い出せるかもしれません」
「…」
「えっと、羅威刃の人ですよね、ん?羅威刃?それってマフィアじゃないか?まぁいいか、えっと、貴方は…」
俺は頭の中を巡らす。
そして、思い出した。
「あぁ!思い出したぞ、城ヶ崎ですよね貴方!羅威刃の…ん?城ヶ崎?」
思い出してしまった
「…あ、じょ、城ヶ崎、…?」
「…ああ」
「城ヶ崎…城ヶ崎…」
「…」
「城ヶ崎…、羅威刃…の?」
「…、そうだ」
「…」
この会話時間、およそ13秒。
「えっ、ぅっ、うおおおおっ、!?何でテメェが俺の家に居やがんだああっ!!」
「貴様が無理やり連れてきたんだろう!!!」
「いや言えよ!!俺とお前は敵だって!言えよ!」
「俺のせいにするんじゃない!!貴様の頭が悪いのだろう!!」
「なんだと!?俺は疲れていたんだ!気付かないのは当たり前だろ!!」
「何で半殺しにされた奴を忘れるんだ!」
「おおお俺だって知らねぇよ!!」
俺は混乱しながら叫ぶ。流石に戦ったヤツを忘れるのはマズイ。挙句の果てには家に連れてくるなんて。
昨日の自分を殴りたい。
「ていうか何でこんな時間まで残ったんだ?起きたらすぐ帰る事もできただろ」
「俺の事思い出した時の反応に興味が湧いた」
「くたばれ」
俺は心の中で中指を立てる。
朝っぱらから最悪だ。最高の休日になるはずが最低醜悪の休日になってしまった。こんなことなら15連勤していた方がマシだった。
そんなことを考えていると城ヶ崎が俺に背を向けて玄関に歩き出した。
「まぁ、泊めてくれた事には一応礼を言う」
「当たり前だろ」
「では俺はそろそろ戻る」
そう言って城ヶ崎がドアノブに手をかけた。
しかし今は朝。色々な人が居る時間帯だ。
もし城ヶ崎が俺の家から出ていった情報が流れれば色々と面倒くさい状況になる。
そう考えると城ヶ崎には夜までここで待ってもらうのが良いだろう。
「待て城ヶ崎。この時間帯はうろちょろ人が出歩いている。誰かにお前が俺の家から出た様子を見られたら一瞬で噂になるぞ」
「別に俺は構わん」
「いいか?相手は俺だぞ?もしこの噂がお前んとこの東雲ら辺に流れたらどうすんだよ。羅威刃のボスとしてのプライドなんて大崩壊だろ」
「……」
城ヶ崎は少し考えるように黙り込むと、家に居ることが最適解だと察したのかドアノブに掛けていた手を離した。
「まぁ、もう少しだけここに居てやっても良い。不本意だがな」
「俺だって不本意だし不愉快だわ」
そう城ヶ崎の言葉を適当にあしらうと、城ヶ崎は近くの椅子に足を組んで座り込んだ。
「ああ、そうだ小峠。腹が減った、何か作れ」
「誰がお前なんかに作るか。俺は家政婦じゃねぇ」
「先程朝飯を作ると言ったのは誰だ?」
「それとこれとは別だろ!」
「もし作ったら午後少し手合わせしてやる」
「…本当か?」
「しょうもない嘘はつかん」
強者との戦いは絶対己の成長に繋がる。しかも城ヶ崎程の強者なら尚更だ。
この機会を逃すほど俺は自惚れていない。
「…卵焼きと、焼き魚でいいか」
「任せる」
そうして俺は不貞腐れながらも台所へ向かった。