テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「ひかる」
翔太は、明るいベッドで俺の腕を取ると、上目遣いに俺を見上げて来た。今朝の翔太は甘えたいモードみたいだ。俺の名を呼ぶ声が少し鼻にかかってる感じがする。可愛い。
もう一度抱きたくなるけど、夜明け前のつい今しがたまでその白磁の肌を赤く染めて感じていた。すぐにしたくなるのは、よくない、そう思った。
「俺たちってさ、なんか、先、あんのかな」
翔太がふと、そんなことを言う。
言った矢先に、まずいと思ったのか、少し眉を顰めた。
「どうしてそんなこと?」
不安があるなら取り除いてやりたい。子供じみているかもしれないけれど、俺は翔太と真面目に付き合っているつもりだった。
どこかで翔太を不安にさせたろうか。
いずれ俺が離れていくとでも思わせてしまっただろうか。
「…こんなに好きなのに」
ふと漏れた声が、翔太の形のいい耳に届いたらしい。おまけにその時の俺は子供みたいに頰を膨らませ、口を尖らせていたと翔太が後で笑って教えてくれた。それくらい、不本意な気分だったのだ。
「ふぅん。でもやっぱり、不安だよな」
「……」
「照」
「ん?」
「俺はお前を不安にさせてないか?ずっと愛してるって信じてくれるか?」
「……翔太。それって…」
翔太の顔が朝の光を受けて眩しいくらいに発光して見えた。柔らかい風が吹いてベッドサイドの白いカーテンが揺れる。一糸纏わぬ翔太の姿は、神々しい女神を彷彿とさせた。しばし見惚れる。それほど朝日を浴びた翔太は美しかった。
「好きだよ。照。俺、お前が好きだ」
返事の代わりに甘いキスをした。
言葉と抱き合うしかない俺たちだけれど、俺の胸の中を開いて見せることができるのなら、翔太に余すところなく俺の心の中を見せてやりたいと思った。
君が好きだ。
大好きだ。
「翔太、俺を信じて」
「うん、照」
ふたり、手を重ねる。
翔太の白い手に、俺の日焼けしてごつごつした浅黒い手が重なる。空白の指に、リングを贈りたいと思った。そんな、前から考えていたことを伝えると、翔太の目が僅かに潤んだ。
「もう一回、いい?」
「聞くなばか」
衣擦れの音が、明るい室内に優しく響く。多忙で会える時間は少なくなっても、会えば嬉しそうに俺に応えてくれる君は、間違いなく俺の生涯の愛する人だ。
おわり。
コメント
10件
うわ好きーーー無理好きーーー🤦🏻♀️🤦🏻♀️🤦🏻♀️
やっぱり、いわなべは良いですね〜