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2週間後……
夏祭り当日となった。八尾は津雲と浴衣姿で歩いていた。八尾は心を強く持った。
「もうすぐ待ち合わせ場所だな。」
「うん。」
八尾達は待ち合わせ場所に着いた。
すると、美華はポツンといた。
「じゃ、後は二人で楽しんで!」
津雲は去っていった。どうやら元々陽キャグループと一緒に歩く予定だったらしい。
「おまたせ。」八尾は改めて美華を見て、息が詰まった。いつもより格段に可愛くなっていたのだ。
髪はショートカット。紅色の浴衣を着ており、屋台で買ったであろういちご飴をぺろぺろしていた。その姿は八尾の脳裏に焼き付いた。
「さっ、行こ!」美華は八尾の手を取り、歩き出した。恋人繋ぎだった。
八尾は赤くなっていた。美華も赤くなっていた。と、「あ!美華!それに八尾も!」
クラスの女子数人と出会った。
「美華と八尾は…ってキャッ!」
女子は二人の手元を見て小さく叫んだ。
「ごめん。邪魔したね。じゃあね〜」
美華はバイバイと呑気に手を振っていた。
八尾はほへ?っとなっていた。
「あ、八尾君お腹空いてない?何か買お?」
「う、うん。何食べる?」
「えーっと、私は焼きそばとかき氷とタピオカがいいなぁ。」
美華はそう言って財布を取り出そうとした。
が、八尾はそれを制し、「奢るよ」と言った。
すると美華は目をキラキラさせて、
「わーい!やったー!八尾君最高ー!!」
と喜んだ。
その時、顔が目と鼻の先まで近づいてきたので八尾はドキッとした。
美華にはドキッと何度もさせられてる気がする。
各々焼きそば等を買い、ベンチで食べることにした。
美華は焼きそばを食べると「ん〜おいひぃ〜」と言った。食べてる姿が一番可愛いと八尾は思った。そして八尾も焼きそばをすすった。美味しい。豚肉の油が香ばしく、後からタレの旨みが口いっぱいに広がった。
食べ終えたら次はかき氷を食べた。
二人とも同じタイミングにキーンときた。
同時に頭を押さえ、互いに見合って笑った。
最後はタピオカを飲んだ。ぷにぷにしたタピオカとミルクティーの甘さが最高だった。
夜ご飯(屋台のものだが)を終えると二人共歩き出し、展望台目指して進んだ。
実は展望台には人が誰もいない。が、花火がよく見えるスポットなのだ。そこは美華が見つけたらしい。
八尾自身は、こんなところに展望台なんてあったんだ。と思った。
花火がちょうど打ち上がったところだ。
緑色…赤色…黄色…白など、多数の色の花火が夜空に輝いていた。
二人とも花火に見とれていた。
「綺麗だね……」
「うん……」
美華は八尾のことをトロけるような目で見ていた。
八尾は花火を見て笑顔を浮かべていた。
美華は意を決して八尾にこう話しかけた。
「八尾君……」
「どうしたの?美華さん。」
美華は少しモジモジしていたが、はっきりこう言った。
「八尾君っ!転校してきた時から好きでした!付き合ってください!!!」
八尾は一度口をあんぐり開ける。
が、一瞬で優しい笑顔になり、こう言った。
「…よろしくお願いします!!」
すると美華の表情が今までで一番明るくなり、八尾に飛びついた。
八尾はそれを両手で受け止めた。そして、優しく抱きしめた。美華の腕にも力が入る。
小さな体だった。桜のようないい香りがする。それが、美華と出会ったあの時を彷彿とさせた。二人の糸は今宵固く結ばれた。
それと同時に大きなピンクの花火が上がった。
その頃津雲は、腕組みしながら花火を見ていた。
「幸せになれよ……親友……」
そう呟いた。