最近ちょっと俺は気になってる事があって。
それは若井が韓国のアーティスト、特に男性の、との距離が近すぎないかってことで。
この前も音楽番組の収録が終わったあとに仲良く話してて、なんだか俺といる時より盛り上がってる気がするしボディタッチも多い。
今日も収録で知ってる子達がいるから挨拶に行ってくるって若井は1人で出ていった。
一緒にいこうって言ってくれないし···。
そりゃ韓国語ほとんどわかんないけど。
それでもさぁ···。
なんか、もやもやする。
「も、元貴?顔すごく怖いよ?」
涼ちゃんが目をパチパチしながら俺の顔を覗き込む。
「···若井ってちょっと他の人と仲良くし過ぎと思わない?」
「へぁ?」
「この前とかも挨拶しながらハグしてたし」
「それはまぁ、そういうこともあるんじゃないかな?ってヤキモチ妬いてるからそんな顔してたんだね〜」
「そんなことがあり過ぎるから気にしてるの、若井が悪いっ」
「でも付き合ってるのは元貴でしょ?そんなに不安になることないと思うけどね〜」
涼ちゃんはにこにこ笑ってそう言ってくれるけど、付き合ってるからこそ不安になる···だって最近の若井は本当にカッコいいってあちこちのSNSで見るし、男性ファンも多い。
「そんなに不安なら本人にあんまり他の人と仲良くしないで〜ヤキモチ妬いちゃうよ♡って言ったらいいのに」
「そんなの言えないって!恥ずかしすぎるしそんなキャラじゃないから」
「そんなこと言ってないで···あ、若井帰ってきたよ、そろそろ用意しなきゃだね」
スタッフさんからも声がかかり、俺たちは用意して収録に向かった。
無事収録を終えて控室に帰ろうとすると···。
「モシッソヨー!」
後ろから声が聞こえて若井が韓国アーティストのひとりに後ろから抱きつかれている。
「ありがとう〜、嬉しい〜!」
なに、カッコいいって言われてバックハグされて嬉しいって?
なにそれ。
俺は若井を置いて控室に戻る。
少しして、若井と涼ちゃんも帰ってきたけど、俺は何も言わずに着替えていく。
「元貴、今日って終わったら家行ってもいい?」
若井も隣で着替えながら、俺の不機嫌も知らないで話かけてくる。
「だめ」
「あ、予定あった?」
「予定ないけど、やだ」
「···やだ?なんで?怒ってる?」
若井は着替える手を止めて俺を見る。
「怒ってない、なんかやだ、今日の若井はやだ」
「なにそれ、怒ってるじゃん、なんで?」
「さっき抱きつかれて喜んでた」
「え?」
「若井さ、最近他の人と距離近すぎる!なんかあっちでもこっちでもイチャイチャしてる!!俺の前でもハグとかするし!」
「ちょっと元貴、落ち着いて···」
いきなり大声を出した俺に涼ちゃんが驚いている。
「そんなイチャイチャなんてしてないって、ハグも挨拶だし、さっき抱きつかれたのだってすぐ離れたよ?」
「してる!してるもん!だから若井やだっ」
なんだか泣きそうになって若井から目を逸らして離れようとすると、手を掴まれた。
「ちょっと待ってよ、してないって!それで言うと元貴だって他の人と仲良く話してるし、なんなら2人きりでご飯とか行ってるじゃん」
「でも俺はハグとかしないから!それに行くときはちゃんと若井に報告してるし!」
「報告したらいいのかよ、それに元貴こそ撮影の時とか距離近い時あるでしょ、そんなの俺だって嫌だよ!」
「それは仕事なんだから!」
「仕事ならなんでもいいってこと?」
「2人とももうやめなよっ!!」
涼ちゃんが俺たちの間に入る。
「元貴も若井も落ち着いて!こんなところでする話じゃないでしょう?早く着替えて片付けようよ、これで僕と若井は今日終わりだし。元貴はさっき打ち合わせ少し残ってるって言ってたよね?」
そうだった、俺さっき急に入った打ち合わせがあったの忘れてた。
さり気なく俺のスケジュール把握してくれてたんだな···。
「涼ちゃん、ごめん、俺打ち合わせ行ってくる」
着替え終わった俺は、必要なものだけ持って若井には 何にも言わずに出ていった。
打ち合わせは確認だけだったので1時間くらいで終わり、残った荷物を取りにさっきの控室に戻った。
「元貴、お疲れ様」
「涼ちゃん···もしかして待っててくれたの?」
「うん、ちょっといい?さっきのことだけど···元貴ちょっと言い過ぎたんじゃないかな···若井ショック受けてたよ」
「だって、俺もショックだったよ···」
「わかるよ、でも若井もよく僕に元貴が他の人と仲良くするの見るのは嫌だ、とか言ってたんだよ」
「え···?」
「本当は他の人と、2人きりで食事とかも仕方ないって分かってても嫉妬しちゃうって···元貴には、言わないでって口止めされてたけど」
「ほんとに···?」
「けど仕事のこともあるし、束縛したいわけじゃないからねって言ってたよ、だから若井も辛かったんだと思う」
「涼ちゃん、どうしよう。俺いっぱいヒドイこと言っちゃった···」
俺ばっかりが大好きで嫉妬してると思い込んでいた、若井もそんな風に思ってくれてたなんて知らないで···。
「大丈夫だよ、若井も元貴のこと大好きだから。ちゃんと仲直りしておいで」
「ありがとう、若井のところ行ってくる!」
カバンを掴んですぐに若井の家に向かう。
1秒でも早く会いたい。
着いてインターホンの鳴らすと、若井がドアを開けてくれた。
部屋に入っても若井は黙ったままで、沈黙が怖い···。
「若井、ごめん。ごんなさい、さっきはヒドイこと言っちゃった···」
泣くつもりはないのに、視界が涙で滲む。
「俺ばっかり嫉妬してるって思って···若井のこと好きだから、大好きだから···ごめんなさい···」
床にポツンと涙が落ちた。
その時、若井が俺のほうに近寄ってきて···ぎゅっと抱きしめてくれた。
「俺だってめちゃくちゃ嫉妬するって···肩組んでる写真とか、企画とはいえ写真撮り合いっこしてたりだとか、もう俺の元貴なのに!って何度も思ったこと知らないだろ」
「うん、ごめん···」
「けど仕事だし、いっぱい活躍してる元貴は見てたいし···とにかく俺も元貴のことの大好きなんだよ···」
「俺も若井のこと大好き···」
「なんか嫌なことがあったら教えてよ、元貴はすぐ我慢しちゃうんだから···って、俺もだけど」
「うん、ちゃんと言うようにする···俺たち、仲直りできた?」
「仲直りのキスして···」
若井の首に手を回してキスをする。
「涼ちゃんにお礼言わなきゃ、仲直りしておいでって言ってくれたんだ」
「そっか、涼ちゃんのおかげだね」
2人で顔を見合わせて笑った。
おしまい
涼ちゃんのひとこと
「若井も元貴もお互い大好きすぎて素直になれないんだよね〜僕には愚痴も惚気もすごいのに〜けどそんな2人が可愛いからいいんだけどね」
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