「涼ちゃん顔色悪い?どした?」
元貴はゲームをしていた手を止めて隣にいた僕の方に体を寄せる。
「少し、頭が痛くって···ごめん、大丈夫だから···」
なのでさっきからゲームをする元貴を眺めていた。
「薬は?」
「飲んだよ、だから少し痛いだけで···へーき」
元貴はゲームを置いて僕の手をひいて寝室へ向かった。
「こっちきて、横になって」
元貴がベッドに座って膝をポンポンと叩く、膝枕してくれるってことかな?
「ありがと···」
正直あまり収まらない頭痛が辛かったので素直に従う。
元貴は、僕に毛布をかけると頭をそっと撫でてくれた。
「気持ちいい···」
元貴の手のぬくもりと優しい動きで痛みがやわらぐ。
「ごめんね、ゲームしてたのに···それに元貴も疲れてるのに···」
「ゲームより涼ちゃんの方が大事だし、俺がこうしてたいの」
「ちょっと痛いのなくなってきた···元貴の手、気持ちいい···」
「眠ってもいいからね」
そう言われて目を瞑ってしまう、元貴の穏やかな透明感のある声は僕の気持を緩ませる···。
「僕のこと、甘やかせすぎだよ···」
「曲のことになると別だけど、それ以外は涼ちゃんのこと甘やかせてあげたいの···いつも頑張りすぎだから」
「元貴に甘えられるなんて···僕は、世界一幸せだね···」
「好きな人には尽くすタイプなんだよ、俺。知らなかった?」
ふふ、と元貴が笑う。
好きな人、かぁ···幸せな響き。
「元貴の好きな人ってだあれ?」
敢えて聞いてみる。
その声に名前を呼んでほしくって。
「知ってるでしょ?俺の好きな人は···ちょっと抜けてて独り言が多くって、けど人の気持ちがわかってすぐ泣いちゃう、めちゃくちゃ優しい人」
「そんな人いたっけ?」
「いるんだよね、可愛い可愛い人が。涼架。ふじさわりょーか。俺の大好きな人」
元貴が名前を呼んでくれる時、特別な名前に感じる。
目頭が熱くなって閉じた瞳から涙が溢れた。
「僕もいるよ。大好きな人」
「教えて」
「僕の好きな人は···僕が大好きって思う曲をいつも作ってくれる。歌が上手で···笑うときの声が好きで、すっごく可愛い顔してるのにヘン顔しちゃうんだよ、けどどんな表情も魅力的なの」
「そんなヘン顔しても魅力的な人っていたっけ?」
「元貴、おおもりもとき。いつまでも一緒にいたいひと」
そっと元貴の手が僕の頬を撫でる。
すっかり痛みはどこかへ消えてしまった。
目をあけると元貴の顔が近くにあって、唇がそっと触れた。
「痛いのなくなった···」
「良かった、けど無理しちゃだめだよ···」
「うん···ねぇ、一緒に入って···」
元貴の膝から頭を浮かせて、毛布をあげると、元貴は隣に来てくれた。
「眠たい···」
「俺も眠い···涼ちゃんといると安心する···」
元貴のほんのりと赤い唇にキスをする。
「涼ちゃん好き···」
「僕も大好き」
元貴が眠ったのを確認して僕も少し眠ることにした。
元貴には人を癒せる力があるのかも。
なんて考えてしまうくらい痛みはなくなっていた。
「元貴が辛い時は、僕が癒してあげるからね」
そう呟いて約束のキスを交わした。
大好きなずっと一緒にいたい人と。
コメント
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♥️💛が可愛くて、ほっこり癒されました〜🥹💕