「それより、此処は…一体何処だ…?かなり異質な空間の世界に感じるが…」
「魔神族が住まう世界…ってよ、儀式の準備が整ってきたっていう合図なんだろうな、お前とリーシアをこの世界に連れ込んだって事は…」
と、この世界には、少し歩けば、魔神が大量に彷徨いていて、魔神族の一族の騎士団の一味の連中と思わしき人物や、魔神の血を利用し、無惨にも魔神化した元人間だった者まで。禍々しい色彩が広がるこの魔神族の為に創造されたと言っても決して過言ではないこの地……、だからか、
「………っ…!!、何…!、頭が…痛い……」
「封じ込められていた記憶が、この場所に引き戻されリーシアにとって本当の還るべき、故郷に還ってきた事によって、記憶の鱗片を取り戻し刺激が与えられてるようだ、恐らくにはなるが、本当の彼女が生まれたこの地に引き戻す事によって、封印の中に眠っている記憶の再生をさせて彼女に魔神族の同胞とした過去…封印される以前を再構築しようとしてるのだろう」
「意地でも、リーシアに眠る大昔の記憶全てを思い出せて、尚且つ奴らは奴らで野望をやり遂げようとしてるって事か、って事はそれがもし本当なら此処がリーシアの生まれつき故郷で、還るべき場所だったのか、しっかしそう考えると彼奴らが実行しようとしてる計画の段階が俺達が思ってた以上に急速的に進んじまってたんだな 」
メリオダスはそうぼやいた。
もう、安易に、ゆっくり旅路を歩み進められそうにもなくなっていた。「じゃ、じゃあ、ゴウセルと、リーシアを此処に誘導したタイミングが今って事は、儀式を早く開始させてリーシアの中に眠る真の彼女を目覚めさせる準備が整ったからって事…!!?」
「……そうであってほしくはないが、恐らくそう考えるのが妥当だ」
「ど、どうしよう、今はまだ引き返せる筈……!、何処か元の世界に戻れないか方法を探そう 」ディアンヌは、キョロキョロして辺一帯を見渡しつつ、そこに広がるのは、深淵の闇だけ…それに陽の光さえも射さない、ひたすら暗黒の世界、そんな異様な雰囲気が一面に広がる世界の中、メリオダス達は歩いていると、奥から一人の声が聞こえてきた。
「此処は、 永久に闇に満ちた魔神の世界。この世界には出口という概念は存在しません」
その声の正体は言わずもがな、リオネス王国の聖騎士の一人ギーラだった。
それにしても、何故彼女達聖騎士の連中もこの世界に居るのだろうか、迷い込んだのか…?いや、違う。魔神族と同盟を組んだリオネス王国の聖騎士長を含めたリオネス王国の聖騎士達にとっては、魔神族は同盟を組んだ、言わば『仲間』の関係に在る為に必然的に彼女達と居合わせた。
「お待ちしていましたよ、姫様…やっと貴女様のお力を、貴女の身体と精神に眠る全てを呼び覚ます禁断の儀式の準備が整ってきております、後は姫様とゴートシン・ゴウセル、貴女様方お二人を儀式へ案内のみ、我々の計画は少しずつ着実に終焉へと手を伸ばしている…手が完全に届くまではまだ程遠いですが……」
「…………嫌……嫌だ……」とリーシアが怯えて後退りをしてると、「我々が讃えし、姫様が帰還なさってる……」ぞろぞろとやってきたのは、魔神族の騎士団の…つまりは、彼女を姫様や神などと、敬意を表し、従順なる同胞らが集まってきた。
けど、彼女の魔神族の長としての記憶が封印の鎖から解かれておらず、それに実は、記憶そのものも意図的に最初から消去されて地上の地に生まれついた為に【本来の記憶】が喪失してリーシアは、魔神族という大いなる、脅威的な種族を統べる姫…支配者としてではなく、今の彼女の同胞に対する認識は、敵対する敵という認識に変化していた。
「我々が崇め、讃えられる存在は、貴女様しか有り得ないのです、貴女が数万年前の封印から目覚められたと、その事を初めて知ったあの頃から、貴女様にお目にかかれる日を、ずっと心待ちにしてた」同胞の中に属する魔神族の騎士団達は皆口を揃えて、リーシアが再びこの地へ帰ってくる時を望んでいたらしい。
魔神族の創造姫に値する彼女を、再び呼び覚まさせてもう一度尽くしたい、その望みを叶える為に儀式を通して、封印された全てを覚醒させて、彼女の中に眠っている…永久なる夢の中で眠っているであろう、真のリーシアを引き戻そうとしてる…それが彼女ら魔神族が長年練っていた計画の最大の目的のようだ。
「さあ、貴女が還るべき地の同胞も貴女の真の目覚めを…封印から全てを解き放たれた、貴女の真の姿との瞬間を待ち望んでいる」
「それに、魔神の呪いの楔からは逃げられないという事は、貴女様ご自身が良く理解してあられる筈……」
「嫌だ……嫌……だ……」リーシアは逃げようと、後方に後退りするが、「姫様、此処は貴女様にとっては此処が本当の故郷…いや、厳密に言えば…貴女様が創造神となって生み出された、まさに魔神族のテリトリー、その記憶さえも忘れられたのでしょうか、まあ、あの封印の繭に数万年ものの間目を覚ます事なく、眠り続け…そこから殻を破ってこられたのですから、まあ貴女にとっては遠い昔の記憶でしょうが…… 」
「貴女様は、もうそろそろ此方側へその大罪人と共に帰還なされる時です、この世界の均衡を保てられるのは貴女様、ただ一人しかいないのです、さあ」同胞達は、どうやら意地でも、リーシアを引き戻したいようで、説得。
逃げようにも、魔神族にとっては優位の地、それに魔神族の同胞の数はかなりのもので、囲まれてしまう。「仕方ねえー、こいつらの相手をしない限り撒けなさそうだし、やるしかねえーな…!! 」
「お、おい、本気かよ…!!メリオダス、こんな大勢を相手する気かよ…! 」
と、ホークはあまりにも多勢に無勢で、幾ら【七つの大罪】だったとしても、数が圧倒的に不足している、この状況の為に焦りが出始めた。
「豚君、オイラ達は弱音なんてもう言ってられないんだよ、このままじゃ彼奴らの思う壺になるだけ、二人が狙われてる…二人を無理矢理にでも向こう側へ陥れようとしてるみたいだし、だからこそ油断も迷ってる時間はもう無いんだ」
「まだ諦めませんか、それに本来の力は、呪縛の支配によって制御され、力を全てまでは発動出来ない筈、早く本当の自分という皮を剥いで露わにしたらそれも変わるのでしょうけど、これ以上足掻いたところで無駄ですよ、どのみち、貴女様は何れ呪いに身体全てを支配され、侵蝕され…堕ちる運命を辿る事になるのは避けようの無い事、まあそこに達する条件には、貴女にとって最大の犠牲を失ってもらう過程が必要不可欠……生贄が必要なのです」
ギーラはそう言った。
「姫様と、色欲の大罪人の確保は私達がやっておく、だからあんたら達聖騎士共は邪魔なこいつらの相手でもして、事が片付くまでの時間稼ぎでもしてなさい」
魔神族の同胞の一人はそうギーラ達に指示を促し、ギーラ達は命令のままに従順に行動に移る。やはり、この世界に存在する多種多様な種族の中でも脅威的な強大な力と、支配力を有しているからか、かなりギーラ達は、高い忠誠心と従順な態度で彼女達の配下についているようだ。
「了解………」
「二人の事は、絶対に俺達が守ってみせる」
「ふふ、その威勢がいつまで続けられるか、見ものね。まあ、我々は儀式を次の段階へ進める為にも、迅速に姫様とあの色欲の大罪人さんを捕らえないといけないから、じっくり貴女達の事を傍観してる暇なんてないに等しいんだけど……」
「では、そちらは任せましたよ、全ては聖騎士長様と、あのお方の望みを叶える為…」
「ええ、ま、私達はどの種族からも嫌われ…恐れられる、それが魔神族…故にどんな奴らよりも持ってる力も何もかも強大、ふふっ…だからそう容易には倒れやしないから、安心しな 」自信に満ちた様子、そもそも魔神族というのは『強者』というに等しい。
しかし、それは【七つの大罪】も同じ、彼らはリオネス王国に存在する騎士団の中でも『伝説の騎士団』とも称される程の最強の騎士団。
メリオダス達もまた、魔神族同様に恐れられてる存在であり…『英雄』でもある。
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