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第一章_スタート…
【シクフォニさん夢小説: 君が眠る理由を、俺らはまだ知らない】
六奏家は、今日も冷え切っていた。
リビングのソファで、ぐったりと項垂れて眠っている末っ子のすち。
「……また寝てんのかよ。やる気ねーのもいい加減にしろよ」
いるまの刺々しい声が響く。
隣に座るなつも、呆れたようにため息をついた。
「練習中もずっとあくびしてたしな。すち、お前もう部屋に戻れよ。目障りだわ」
「……っ、ごめ、んなさい……」
すちは重い瞼を必死に押し上げ、震える足で立ち上がる。
本当は、意識が遠のくほどの強烈な眠気に襲われていて、視界もぐにゃぐにゃに歪んでいる。
(ダメだ、またみんなに迷惑かけてる。起きてなきゃ……嫌われちゃう……)
すちは、ズボンのポケットの中で、自分の太ももを思い切りつねった。
爪が食い込み、血が滲むほどの痛みで無理やり意識を繋ぎ止める。
でも、限界はすぐにやってきた。
「おい、聞いてんのか?……すち?」
らんが不審そうに声をかけた瞬間だった。
すちの身体から、ふっと力が抜ける。
「あ……」
パサッ、と乾いた音を立てて、すちが床に崩れ落ちた。
受け身も取れず、まるで糸の切れた人形のように。
「すち!?」
「ねぇ、冗談でしょ!? 起きてよ!」
慌てて駆け寄る兄たち。
みことがすちの肩を抱き寄せ、その異様な冷たさに息を呑む。
ふと、捲れた袖から見えたのは――真っ赤に腫れ上がり、内出血した無数の「つねり跡」だった。
「……なに、これ。すちくん、自分で自分のこと……」
こさめの声が震える。
救急車を呼ぶまでの間、兄たちは初めて知った。
自分たちが「怠慢」だと責めていた末っ子が、どれほど血の滲むような思いで、自分たちの隣に居続けようとしていたのかを。
――数時間後、病院。
「……過眠症? 本人の意思ではどうにもできない病気……なんですか」
医師からの説明を聞き、5人は言葉を失った。
これまでのすちの態度、隠れて飲んでいた大量のエナジードリンク、そしてあの痛々しい傷跡。
すべてが「自分たちに嫌われたくない」という一心での抵抗だったのだ。
「俺ら、なんてこと……」いるまが顔を覆って崩れ落ちる。
その時、病室のベッドで、すちがゆっくりと目を覚ました。
「……あ、れ……僕、また、寝ちゃった……?」すちはパニックになり、真っ青な顔でシーツを掴む。
「ごめんなさい! 次は、次はちゃんと起きるから! お願い、捨てないで、嫌わないで……っ!」
泣きじゃくる末っ子を見て、兄たちは誓った。
もう二度と、この子に無理はさせない。これからは、世界で一番甘い「眠り」を、俺たちが守ってあげるんだと。
「……もう頑張らなくていいんだよ、すち」
らんがすちを優しく抱きしめ、耳元で囁いた。
そこから、兄たちの「狂気的なまでの過保護生活」が幕を開けることになる――。
次回♥️300💬1
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