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自分の性癖が分からなくなってきている。楓に洗脳されているのであろうか、最近彼女に嫉妬されるとつい嬉しくなってしまう。
百合風味の近親ショタ味―――
新発売の『う〇い棒』のキャッチコピーにどうだろうか? いや、が〇がり君でもいいや誰か売り込んでくれ。
うちの家族は少し変わっていて両親共に仲が良く、何時まで経っても恋人気分で所構わずイチャイチャしてた。お蔭で子供達はほったらかし。寂しさを埋める様に兄弟が依存しあって育ってしまった。
その結果、兄は妹を溺愛し、何を犠牲にしても私に尽くしてくれた。然しその関係も長くは続かず、末の弟が生まれた事で終わりを迎えた。
―――そう
私の興味が兄から弟へと移り変わってしまったのである。兄は嘆き悲しみ苦しんだ、何度となく刺客の暗殺者《おもちゃ》を贈《おく》り込んでは末弟の興味を私から引き離そうと暗殺を企てた……
骨肉の争いである……
そんな兄への不信感が募った事件がある。あれは忘れもしない私が中学1年の頃、4つ上の兄が高校生になった頃の話だ。幼児期よりボディタッチが多かった事もあり、余り気にも止めなかったが、今思うとそれが偏愛の予兆であったのかもしれない。
脱ぎたてのパンティを洗濯機にぶち込みシャワーに入った。洗顔フォームを忘れガチャリとバスルームの扉を開けると、
―――兄がパンティを被っていた……
これは今流行りのヒーローのものまねだよ、どうだい驚いたかい? あはははと人のパンティ被ったまま出て行った……どげんかせんといかん。
多分兄は私で確実にイタしている。悶々とイタしちゃっている。間違いない。おぉ神よ彼を救い給え。
結果、私は兄と距離を置き、私は弟に何とも思われていないと言う組織図が出来上がった。きっと兄は私の貞操を狙っている、そして私は弟の筆を狙っている、なんだこれ。おぉ神よ兄妹達を救い給え。
「すみません、いちかさん、初回本指名《先頭打者ホームラン》なんですがいいですか? 」
「はい? 初回で? 雑誌からのお客さん? それとも紹介? 」
「いえ、どちらでも無いのですが…… それがその、俳優の氏家直樹さんなんです」
氏家直樹《うじいえなおき》とは、最近の恋愛物ドラマで人気急上昇中のイケメン俳優でT〇itterのトレンドでも名前がバンバン上がる程の若手実力派俳優だ。
戦々恐々と困惑し、席に案内され引き攣った笑みを見せ挨拶する。
「はっ、初めまして。いちかと申します」
店内のキャスト《冒険者》が騒めき悲鳴も聞こえる……
「やぁ、久しぶりだね元気だった? 」
イケメンが肩を抱きしめ顔を覗かせる……
―――ちょっ⁉
「いい加減にしてよ、お兄ちゃん」