テラーノベル
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白×桃
静まり返ったキッチン。
足元には、無残に引きちぎられた菓子パンの袋や、脂の浮いたカップ麺の空容器が散乱している。
ないこはそれらを焦点の合わない目で見つめ、パンパンに膨れ上がった腹を抱えて蹲っていた。
🍣「……っ、……はぁ、……死にたい」
口の中には、甘すぎるクリームと塩辛いスープの後味が混ざり合い、粘りついて離れない。
胃が内側から弾けそうなほど重い。詰め込んだ分だけの罪悪感が、ドロドロとした塊になって喉元までせり上がってくる。
🍣(全部、消さなきゃ。一刻も早く、無かったことに……!)
這いずるようにしてトイレへ駆け込み、鍵をかける音すらもどかしく便器に顔を伏せた。
迷いなく、右手の指を三本、一気に口の奥へと突き立てる。
🍣「……っ!! げほぉっ、……ぁ、……っぐ……」
喉の奥の、一番過敏な部分をわざと抉るように指を動かす。
身体が拒絶反応を起こし、涙がボロボロと溢れ出すが、ないこは手を止めない。むしろ、もっと、もっと奥へ。
爪が粘膜を傷つける感覚さえ、今は心地よい罰のように感じられた。
🍣「……ぉ、……えっ! げほっ、ごほぉ……!」
ドロリとしたものが指を伝って溢れ出す。
けれど、満足できない。まだ腹の底には、自分を汚している「異物」が残っている気がする。
ないこはさらに深く、指の付け根が歯に強く押し付けられるまで拳を喉にねじ込んだ。
🐰「……ないちゃん!! 開けて!!」
突然、ドアを激しく叩く音が響いた。初兎だ。
ないこはビクッと肩を震わせたが、止めるどころか、焦りからさらに指を激しく動かした。
🍣「……っ、げほぉっ! あ、……お、おえぇぇ……っ!!」
🐰「ないちゃん! 嫌な音させんといて、もうええから!!」
ガチャン、と無理やり鍵がこじ開けられる。
目に飛び込んできたのは、便器にしがみつき、自らの喉を掻き壊すようにして指を突っ込んでいるリーダーの姿だった。
顔は真っ赤に充血し、涙と唾液でぐちゃぐちゃになりながら、それでもなお、ないこは喉を抉るのをやめない。
🐰「……やめろって!!」
初兎が後ろから飛びつき、ないこの両腕を力任せに引き剥がした。
🍣「放せ……っ、放せよ! まだ、まだ残ってんの、全部出さないと……!!」
🐰「もう何も残ってへん! 胃液しか出てへんやんか!!」
ないこは暴れ、初兎の腕を振り払おうとする。
その手は、自分の指で喉を突きすぎたせいで真っ赤に腫れ上がり、小刻みに震えていた。
🍣「……っ、……う、うぁぁぁぁ!!」
出し切れない絶望。
ないこはその場に崩れ落ち、初兎に組み伏せられたまま、喉の奥から絞り出すような慟哭を上げた。
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