テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
(渡辺視点)
「……お前、嘘だろ…」
学校に来て早々、俺は改めて佐久間のすごさに驚く。
「も〜、俺だってちゃんとやる時はやるんだよ?」
目の前にはふっか、その隣に佐久間。
こいつが毎日登校とか奇跡だろ。
お前の姿を見た先生、全員二度見したあと固まってるぞ。
「で、許可どりはできたの?」
今日はオレンジジュースの気分らしい佐久間と、ミルクティーの気分らしいふっかに問いかける。
「まだ!!阿部ちゃんに声かけようと思うんだけど忙しそうでさ〜」
佐久間が満面の笑顔で答える。
おい、嘘だろ?
文化祭まであと2週間だぞ!?
「あ〜、確かに忙しそうだよね〜」
ふっかも笑いながら同感してる。
「……ふっかって生徒会長のこと知ってんだ」
あんまり仲良くしてるイメージないんだけど…
「…そりゃ、見ればわかるじゃん?わら」
「ふーん」
ちょっと気になる部分もあったけど、特に追求したりもしないでその話は終わる。
「もはやさ、許可どりしなくて良くない!?」
佐久間が思いついたように笑う。
「「は?」」
何言ってんだよ。
俺とふっかで呆れたように佐久間を見つめる。
「先生も生徒会も風紀委員も学校にいる全員が知らない!!…そっちのが楽しくない?」
あー…確かにそっちのが…
「って、それはまずいだろ」
せめて会長にだけは伝えないとだろ。
「俺はどっちでもいいけど…まぁ、許可どりは大事か」
ふっかも一瞬目を輝かせたけどすぐに俺と同じ思考に辿り着く。
当たり前だろ。
俺らのやることはそんくらいでけーんだから。
「次阿部ちゃんに会ったら言おーっと」
佐久間も諦めてオレンジジュースに口をつける。
「あとさ!後夜祭のライブ出る?」
あー…そっか、後夜祭って今年もやるのか…
「後夜祭かぁ……俺はパス!」
ふっかが一瞬考える素振りを見せて、満面の笑顔で答えた。
「いや!出よーぜ!!な、翔太も出るよな!?」
「え……あ…そう、だな」
やっぱり、俺も出るのかよ…
後夜祭……
あの日の記憶が、少しだけ脳裏に浮かぶ。
……あれはもう終わったことなんだ。
もう、終わったこと………
「ん〜……内容で考えてあげるよ!」
「ライブなんてどうだ!?」
「いいね〜、やってあげよう!わら」
隣でふっかと佐久間がなんか言ってる。
………大丈夫だろ。
だって、もうあいつらは卒業してるんだ。
(向井視点)
「文化祭、康二くんのクラスは何するの〜?」
階段の片隅、ラウールくんと目黒くんの秘密の場所。
ここで一緒に昼ごはんを食べるのが日常になってきて、俺はすんごく嬉しい!
ラウールくんに聞かれたのは、2週間後の文化祭の話。
「俺のクラスは、コスプレカフェをやるらしいで」
「コスプレカフェ!めっちゃ楽しそうじゃん!」
「康二は、なんのコスプレするの?」
「へ!?俺は……なんのコスプレするんやろ?」
目黒くんに急に聞かれて、思わず動揺する。
まだ、詳しいことは決まってないんよ!!
それに、話し合いもいつの間にかコスプレカフェに決まってただけやし、詳しいことはほんまにわからんの!!
「ふーん…じゃあ、楽しみにしてる」
「……っ///」
目黒くんに、微笑まれた…
王子様すぎん…!?
2人の秘密の場所に来てから、目黒くんの笑顔をいっぱい見るようになった。
普通の生徒たちには見せない目黒くんの素顔……
かっこいい…!!
「あらあら〜、めめ積極的〜」
ラウールくんも隣でニヤニヤしとる…
昼休みの終了5分前のチャイムが鳴って、教室に戻る。
「………」
俺の席にクラスメイトが座ってる。
どないしよ…あの子、一回も喋ったことないんよな。
楽しそうに友達と喋ってるし、声をかけるのもなぁ…
違和感がないように、ゆっくり自分の席に近づく。
声をかけるか、チャイムが鳴ってその子が席に戻るまで待つか…
でも、ちょっと次の授業の準備したいし…
でも、楽しそうに話しとるし!!
「でさ〜w」
「あれはねーよな!!ww」
うわぁ…俺の椅子…いや、正確には学校の椅子なんやけど!
ガタガタ鳴らしとる…危ないで…?
それに、床に傷もついてまうし…
チャイムがもう鳴るのに、その子が退く気配はなくて…
声、かけないといけないかも…
「あ、あの…!」
勇気を出して、少し離れたところから声を出す。
「ははは!!それはやべーわ!!」
でも、全然聞こえてない……
「俺の、席……」
あかん…声が小さくなってる…
「…もう、時間が……」
「ヒャハハハ!!!!!」
笑い声が頭に響く。
この笑い声……やっぱり苦手やな…
嫌な記憶を、思い出すから…
『うわ…ださ〜w』
『ほんま、向井って変よな』
『お前がクラスの足引っ張っとんのや!!』
『ウケるww』
『ヒャハハハ!!!!』
「………」
はぁ、なんのために東京の高校まで来たん…?
うまく、やるためやろ?
「って、あ!ごめん!ここ、向井くんの席だよね?」
「……うん…!あ、ありがとうな!
チャイムが鳴る1分前。
向こうが気づいてくれて、席から離れてくれた。
よかった……
「じゃあ、コスプレはこのくじを引いて決めるね!」
クラス委員の子がくじ引きの箱を持って、それを順番に引くらしい。
何が入ってるかもわからんし、ほんまにランダムなんやろーね。
でも、そっちのが平等やし、くじ引きっていう原始的な方法も俺は好きやで。
くじを引いてく子は喜んだり、逆に絶望したり…
どんな内容なん?
俺は、くじを引く人の波が治るまで自分の席で待つ。
あまり物には福があるっていうしな。
最後まで待ってよっと。
「じゃあ、最後は…向井くんだね!」
「おん」
箱を持ったクラス委員の子が笑顔で俺に箱を差し出してくれる。
この子、優しそうな子やなぁ…
ゆっくり折り畳まれた紙を開ける。
そこに書かれてたのは……
「…は、はあああああ!!!?」
思わず、声を出してしまう内容やった。
目黒くんもラウールくんも来る言っとったのに、見せられへんで…ほんまに。
(阿部視点)
「……ってことで、生徒会と風紀委員も企画をするってことになったんだけど、何かいい案はないかな?」
自分で説明して、改めて思う。
なんで文化祭2週間前に急に言い出すんだよ、先生…!!
そんな急に言われても難しいって!!!
『今年の文化祭を盛り上げるために、生徒会、風紀委員で企画を行なってほしいんだ。頼んだよ、阿部くん』
あの先生……!!
俺らはそれ以外にもクラス企画とか文化祭全体の管理とかもあるってのに!!
頼んだよって何!?
こっちはすんごい忙しんだって!!
「生徒会、風紀委員の企画って…俺らめっちゃ忙しいのに?」
ラウが資料を見ながら苦笑する。
そりゃそう言う反応になるよね。
みんなそんな感じだし。
「忙しいけど、みんなを楽しませるための企画だよ。みんな、頑張ろうね」
あくまで笑顔でみんなを励ますように言う。
俺だって、生徒会長じゃなかったら投げ出してるよ。
「……準備も遅いから、簡単にできる企画がいいよね」
さすが、風紀委員長。
照は早速企画について考えてくれてる。
「…簡単にできるもの…ザリガニ釣り……」
「え?」
めめ、今なんか変なこと言った?
聞き間違いかなと思って、聞き返す。
「ザリガニ釣りなら、俺がザリガニ用意できるし、みんなも楽しめると思うよ」
すごく楽しそうな顔で喋るけど……本気で言ってる…?
めめのその発言にみんな固まってる。
「えっとね…一応生徒会、風紀委員の企画だからそれはちょっと……」
苦笑しながらめめに返す。
「そっか…いいアイデアだと思ったんだけど…」
「はぁ……」
なんとか企画は決まったけど、やることはまだまだある……
最近の定期試験の復習もしたいし、予備校の宿題だってあるのに…
「あ〜べちゃん!!みぃっけた!!」
「うわぁ!?」
後ろから急に抱きつかれた。
この声は………
「佐久間!?…先輩…」
「ま〜た先輩抜けそうだった〜」
(佐久間視点)
よかったー!!
やっと阿部ちゃん見つけたよー!!
捕まえた!離さんぞい!!
「ねぇねぇ!話があるんだけどね!」
「話?」
阿部ちゃん、何かを察したみたいな顔をしてる。
「俺らの企画についてなんだけど!」
「……ってことなんだけど、どうかな!?」
企画内容の説明をして、あとは阿部ちゃんから許可をもらうだけ!
るんるんな気分で阿部ちゃんからの返事を待つ。
「………佐久間、それ本気?」
「本気!!ってか、先輩抜けてる〜、笑」
阿部ちゃんからの鋭い視線…!!
「やるのはいいけど、先生から何か言われても知らないよ?」
「わかってる!大丈夫だから!!」
許可どり成功!!やったー!!
あとは、クラス企画と文化祭と後夜祭ライブの準備!!
やることいっぱいあるけど!頑張るぞー!!!
junp
227
3,709
コメント
2件
楽しみ〜しょっぴーの過去気になるなー
読了〜!第6話、文化祭準備の話、めっちゃ好き!!✨ 渡辺くんの後夜祭の記憶に一瞬影が見えたのが気になる…過去になんかあったんかな?😢 でもふっかと佐久間の軽快な掛け合いがそれを和らげてて、バランス良き! そして向井くん!目黒くんの笑顔に照れてるの尊すぎる…!!「王子様すぎん!?」はマジ同意w でもクラスメイトの笑い声でフラッシュバックするとこ、胸がギュッてなったよ…東京に来た意味、ちゃんと向井くんの中で見つかりますように🌸 最後の佐久間の「先輩抜けてる〜」は草w 阿部ちゃんが振り回されてて面白かった!次回も楽しみにしてるよ〜!!