テラーノベル
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いくら結婚したくなくても、結婚を考えさせてくれるような人だっただろうか。
今の彼が今後も大きな決断をするときに支えになってくれるだろうか。
ずっと「好き」でいられるだろうか。
このモヤモヤは玲央と一緒にいることで消えていった。
やっぱり彼が決断力に欠けたんだ、と。
飽きさせないでくれる玲央とは大きく違ったんだ。
でも玲央は?
私で飽きないのかな。
もしかして、飽きさせてしまっているのは私なのではないのだろうか。
いろんな疑問が浮かんでしまった。
全てを正直に話してくれて先に進もうとしてくれている玲央に私はどんどん惚れていってしまった。
駆け落ちもありかな…
もう今の彼に全く気持ちがないと言えば嘘になる。情もあるし恩返しもしたい。
でも、全く未来を考えられなくなっていた。
付き合った時から今日までの記憶が、やたらと今日は走馬灯のように蘇る。
まだ半年前は普通に仲良くて、旅行して。
いろんなところへ連れてってもらったな…
でも、なんかが終わる音がした。
いつも通りの今日だったのに、なんだかとても胸騒ぎがした。
玲央との関係が終わるかも…
玲央からは20時にいつもの場所に呼ばれている。
いつもと同じ、いつもの時間でいつもの場所。
でも、何かが違う気がした。
今日はなんとなく嫌な予感がするから、少し抑えめな格好で出かけた。
こんな時間までオフィスカジュアル着て歩いて、惨めで情けない女。
周りの女性がキラキラと輝いていた。
約束の20時。
やはり玲央はいない。
嫌な予感が当たった、そう思った瞬間。
玲央がスーツ姿で現れた。
「結婚しよう」