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私はびっくりして固まった。
今までもらったことのないジュエリーに、彼の本気な顔を見て受け取らない選択肢がなかった。
これ、これだよ。私はきっとこれを望んでいた。
受け取ると咄嗟に玲央が私をタクシーに乗せた。
「和泉区役所へ」
車内で婚姻届を書いてほしいって言われたけど、何もかもノリだった。でも楽しかった。
ガタガタな字に行き道で買った適当なハンコ。
なにもかもが勢いだった。
キスも、それ以上もしたことないのに…
私はこのまま彼との家は帰らず出て行くことにした。
「今までありがとう」
こんな日は急に来るんだな。
実家住まいだった玲央はとりあえずの賃貸を契約していた。
手狭で、でも綺麗で、どことなく玲央らしさを感じた私は全てに感動をして涙を流した。
これが私の求める幸せへの一歩だったのかもしれない。
当時は興奮してそれくらいしか考えられなかった。
一方で、彼は私のことをどうしても探していた。
昨日まで普通に過ごしていたのに…って。
その普通は、普通、じゃないんだよ。
遅かったんだよ。
もう飽きたんだよ。疲れちゃったんだよ。
何を言っても諦めが悪い彼は、ずっとあの家で待ってるからと私を呼んだ。
でも、私は気にしなかった。
結婚してから半年、結婚する前の半年に比べて楽しくて、あっという間で、玲央が毎日好きになった。
あの時好きって言ってくれていた気持ちは嘘じゃなかった…
人を初めて信頼できた気がした。
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