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#見捨てられた
リコりす@コメントくれ
7,413
クールキッドは、セブンに抱かれたまま、少しだけ目を細める。
「……あったかい」
その声は、さっきよりも柔らかい。
体の力が抜けていく。
「……」
セブンは何も言わない。
でも、離さない。
ほんの少しだけ、手の力が自然になる。
ぎこちなさが減る。
クールキッドの呼吸がゆっくりになる。
そのまま——
空気が落ち着く。
静かに。
エリオットはそれを見ている。
何も言わない。
ただ、少しだけ安心した顔。
クールキッドはそのまま、ぽつりと言う。
「……パパ」
「……何だ」
「これ、すき」
短い言葉。
それで十分だった。
セブンの手が、ほんの少しだけ動く。
撫でるわけでもなく。
ただ、離さない。
——それから。
しばらくの間。
大きなトラブルは起きなかった。
ピザ屋のシステムも安定する。
家の機械も、勝手に動くことは減る。
クールキッドは積み木で遊ぶ。
普通に。
崩して、笑って。
たまに——
ほんの少しだけ、手が動く。
でも。
それは暴走じゃない。
“抑えられている”。
遊びの範囲に収まっている。
「……」
セブンはそれを見ている。
完全には止めていない。
でも。
前よりも、分かっている。
やり方が。
「……すごい」
ぽつりと言う。
クールキッドが顔を上げる。
「それ」
積み木を指す。
「崩すのはいい」
クールキッドが頷く。
「でも」
一拍。
「外ではやるな」
クールキッドは少し考える。
それから。
「……うん」
素直に頷く。
前みたいに、隠す顔じゃない。
ちゃんと“理解しようとしている顔”。
「……」
エリオットはその様子を見て、少しだけ笑う。
「成長してんじゃん」
軽く言う。
セブンは何も言わない。
でも。
否定しない。
その空気が、変化を示している。
——
時間が流れる。
季節が変わる。
積み木は増える。
言葉も増える。
「パパ」だった呼び方は変わらない。
でも——
ある日。
「お兄ちゃん!」
クールキッドが走る。
玄関。
エリオットが立っている。
「よ」
少し背が伸びたクールキッドが、抱きつく。
「元気か」
「うん!」
声も、少ししっかりしている。
「学校どうだ」
「たのしい!」
即答。
靴を揃えて、家に入る。
動きも、前より整っている。
セブンは奥からそれを見る。
「……来たか」
「仕事前」
エリオットが答える。
「顔見に」
クールキッドがすぐ話し出す。
「きょうね、せんせいがね——」
話が止まらない。
普通の子どもみたいに。
エリオットが相槌を打つ。
「へえ」
「それで?」
自然なやりとり。
セブンはそれを見ている。
静かに。
違和感は、もうない。
あの頃みたいな、張り詰めた空気もない。
クールキッドは笑っている。
普通に。
でも——
ほんの一瞬だけ。
窓の外。
電線が、わずかに揺れる。
風はない。
誰も気づかない。
クールキッドも、見ていない。
無意識。
それくらいの“残り方”。
「……」
セブンはそれを見逃さない。
でも、何も言わない。
ただ——
目を離さない。
完全に消えたわけじゃない。
でも。
“制御されている”。
それで十分だった。
クールキッドが振り返る。
「パパ!」
呼ぶ。
「なに?」
セブンは短く返す。
「きょうね、お兄ちゃんとあそぶ!」
笑顔。
まっすぐ。
「……ああ」
短く頷く。
それだけでいい。
部屋に、笑い声が広がる。
普通の時間。
でも。
ここに至るまでの全部が、確かに積み重なっている。
if (happyend) {
story.end("here");
}
HAPPY ENDなら、ここで終わり
コメント
2件
ハッピーエンドなら....?