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食べれるすぽんじ@🐢投稿
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#ヴェロニカ
ヌッココーヒー
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FORSAKENのサバイバーロビーへ続く静かな回廊。
人気のない石畳の上を、シェドレツキーはゆっくりと歩いていた。
右手には、2x2から託された羊皮紙の破片。
そこに刻まれた古代コードを見つめながら、小さく呟く。
「……1xを、俺の影へ繋ぎ直す……」
この術が成功すれば。
1x1x1x1はキラーという呪縛から解放される。
スペクターの支配も終わる。
それは間違いない。
なのに。
シェドレツキーの手は震えていた。
「……本当に、俺でいいのか。」
立ち止まる。
羊皮紙を強く握る。
胸が苦しかった。
「俺が傲慢だったから。」
「俺が1xを怪物にした。」
「俺が封印した。」
「そんな俺が……またあいつを自分の中へ迎えるなんて。」
静かな回廊に声だけが響く。
「また傷付けるかもしれない。」
「また同じ過ちを繰り返したら……」
その時だった。
「……迷っている顔だな、兄弟。」
聞き慣れた声。
振り返ると、回廊の奥からデュセッカーが歩いてくる。
背中には光の刀。
イルミナが青白い光を静かに揺らめかせていた。
「デュセッカー……」
「2x2から話は聞いた。」
隣まで歩いてくる。
「1x1x1x1を君の影へ戻す。」
「その術を使うのだろう。」
シェドレツキーは頷いた。
「……でも怖い。」
「もしまた失敗したら。」
「また1xを傷付けたら。」
「俺は……」
「シェドレツキー。」
デュセッカーの声が静かに響く。
「君は。」
「いつまで過去の自分だけを見続ける。」
その言葉に、シェドレツキーは顔を上げた。
デュセッカーはゆっくりイルミナを抜く。
シャリン――
青白い光が回廊を照らした。
その光は優しく、温かかった。
「覚えているか。」
デュセッカーが言う。
「この刀を鍛えた日を。」
「……。」
「私たちは誓った。」
「過去を忘れない。」
「変わる。」
「成長する。」
「そう誓ったはずだ。」
イルミナの切っ先が、そっとシェドレツキーの胸元へ向けられる。
「過ちを恥じること。」
「過ちを背負って歩くこと。」
「その二つは同じではない。」
シェドレツキーは黙って聞いていた。
「1x1x1x1は。」
「君の罪ではない。」
デュセッカーは真っ直ぐ見つめる。
「君が完璧になろうとして切り捨てた。」
「弱さ。」
「本音。」
「泥臭さ。」
「誰よりも人間らしい心。」
「全部まとめて。」
「君自身だ。」
「……俺自身。」
小さく呟く。
デュセッカーは頷いた。
「あいつは怪物になったのではない。」
「拒絶された。」
「傷付いた。」
「それでも。」
「君の隣にいたかった。」
「だから暴れた。」
静かな言葉だった。
だからこそ胸へ深く刺さる。
やがてデュセッカーはイルミナを鞘へ納めた。
カチン。
澄んだ音が響く。
そのままシェドレツキーの肩を力強く掴む。
「だから。」
「受け入れろ。」
「光も。」
「影も。」
「完璧さも。」
「情けなさも。」
「全部抱えて。」
「もう一度、あいつの手を握れ。」
少しだけ笑う。
「もしまた迷ったら。」
「その時は。」
「私がイルミナで君の頭を叩き割って目を覚まさせる。」
「……怖すぎる励まし方だな。」
思わず吹き出した。
涙まで零れる。
「はは……。」
「本当にお前らしい。」
涙を拭う。
胸の重石が、少しずつ消えていく。
そうだった。
完璧になる必要なんてない。
間違えてもいい。
叱ってくれる相棒がいる。
支えてくれる仲間がいる。
そして。
どんな自分にも「バカ」と怒鳴りながら隣へ来てくれる半身がいる。
「……ありがとう。」
シェドレツキーは静かに頭を下げた。
「デュセッカー。」
「おかげで決心がついた。」
腰のリンクソードを握る。
その柄を力強く握り締める。
もう震えてはいなかった。
「行ってくる。」
「俺たちの。」
「本当の決着をつけるために。」
デュセッカーは静かに微笑んだ。
「ああ。」
「行け、兄弟。」
「今のお前なら。」
「もう二度と、大切なものを手放しはしない。」
シェドレツキーは大きく頷く。
そして振り返ることなく、回廊の先へ走り出した。
その瞳に宿る光は、かつて世界を守ろうと戦っていた神話の時代よりも、ずっと強く、ずっと優しかった。
もう彼は、「完璧な英雄」になろうとしているのではない。
光も、影も、弱さも、愛も。
そのすべてを抱えて前へ進む、一人のシェドレツキーとして歩き始めていた。