コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
この人には、到底敵わないようにも感じていると、
「……私には、やはり敵わないとでも?」
またしても、心の内をたやすく見通されてしまった。
「そんな風に意地悪を言うなら、私にだってあなたを責めることぐらい……」
たまには彼を言い負かしたくもなって、そう口にすると、
「私を、君が…?」
まさかと言うように、こちらをメガネ越しに見つめてきた。
「それぐらい…きっと私だって……」
つい負けず嫌いな気持ちが湧く私に、
「……では、責めてみますか? 私を……」
と、彼がメガネを外した顔をグッと迫らせた。
「まずは、キスをしてみますか?」
言いながらにじり寄られて、腰が後ろに引けると、逃さないとばかりに背中が両腕にグッと抱え込まれた。
「……してみなさい、私に……」
顔のすぐ間近に、睫毛の長い瞳と薄紅い唇があって、目を泳がせることしかできない。
自分から責めるだなんて言ったものの、実際にはどうしたらいいのかわからなかった。
「ほら、こうして……」
唇に、唇で触れられて、
「すればいい……私に」
唇を離さないままで、密やかな声音で囁かれると、甘ったるい吐息がふぅーっと顔に吹きかかった。