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意を決して、ためらいがちにキスを返すと、
「そう…そんなキスで、いいのですか?」
彼が、僅かに唇の片端を吊り上げた。
「もっとしたいのなら、その唇で……」
そうして、人差し指を伸ばし私の唇に触れると、
「……言いなさい。してほしいと……」
かつての夜のようにも口にした。
何も言えずにうつむいた横顔に、片手が当てられる。
「欲しいと言えなければ、何もしてはあげませんので」
それから、わざと焦らすように頬に口づけて、「ん…?」と、答えを引き出そうとした。
「……欲し…い…」
言った私の唇が、彼の唇に挟まれて捕らえられる。
「……責めるとは、こういうことです……」
舌先が入り込み深まる口づけに、唇がキスをせがむと、
「もっと、私を欲しがるといい……」
覗かせた美しい悪魔のような顔つきで、腕の中へ強く抱き寄せられ、体ごとベッドへ倒された……。
背中がシーツに当たると、冷えた布地の感触が肌に沁み渡った。
「……どう、されたいですか?」
「…………抱いて」
冷たいシーツから体が片腕に抱き上げられる。
「私に、キスができますか?」
「…んっ…」と唇を突き出して、自ら押し当てると、
「あぁ…いい、ですね…」
彼が唇を薄く開き、喉元を僅かに仰け反らせた。
「……先生、もっと……、」
もう一度、キスを求めるように、
「……もっと、感じて……」
いつにもまして妖艶に映るその唇から覗く、濡れた舌の先を、ちゅっと咥え込んだ。