テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
俺たちは「めておら」。
歌を届けるために集まった、歌い手たちのグループ。
この場所で出会ったのは”初めて”だけれど、
――不思議と、ずっと前から知っていたような気がする。
まるで運命に導かれるように、僕らは出会った。
「初めて」なのに「初めてじゃない」。
そんな僕らの声が、君の心に届きますように。
___________
まるで水の中に閉じ込められているみたいだった。
吸おうとしても空気が入ってこない。肺がぎゅうっと縮んで、喉が焼けるように痛い。息が、できない。誰か、助けて。そう叫ぼうとした声すら、音にならず喉の奥でちぎれた。
視界がぐにゃりと歪む。壁が、天井が、どんどん遠ざかっていく。いや、違う。俺の意識が、現実から浮き上がっていっているのだ。
この部屋は俺を見捨てる。だれも、いない。
こんなふうに終わるのなら、せめて——最後に、あのひとの声が聞きたかった。
指先が冷たい。記憶が遠ざかる。
暗闇の中で、かすかに笑う声が聞こえた気がした。