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「新しい靴か? よく似合ってんじゃん」
「そうですか? えへへ、ありがとうございます」
ドレークさんに貰った靴を早速履いていたらクザンさんに褒められた。他にもガープさんやおつるさんにも褒められたし、嬉しいな。足元がお洒落だと気分も上がる。
そんなことを考えながら歩いていると、目の前に見知った人物を見つけた。向こうもこちらに気付いたようで、こちらに向かって歩いてくる。
「よう」
「こんにちは、スモーカーさん。本部で会うのは初めてですね」
俺がそう挨拶すると、スモーカーさんはいつものように仏頂面で応えてくれる。でも俺は見逃しませんよ。眉間にしわが寄ってなくて、少なからず俺のことが不快ではないのをね。この間も頭撫でてましたしね。
あれ? もしかしなくてもスモーカーさん、俺のこと子供か何かだと思ってる?
「スモーカーさんもう帰るところですか?」
「いや、お前を探していた」
「…………え? 俺を?」
思わず聞き返すと、肯定するようにスモーカーさんは首を縦に振る。え? 何だろう……。心当たりが全くないぞ……。
俺がうんうんと悩んでいると、スモーカーさんがポケットから手の平くらいのラッピングされた箱を俺に渡してくる。俺は思わず受け取りつつお礼を言う。なんか俺、物貰いすぎじゃね?ちょっと怖いというか申し訳ないというか……。
とりあえず開けてみることにした。中を見ると、ネイビーのリボンタイが入っていた。
「わぁ…」
俺いつもシャツ着てるけど、そういやネクタイとか持ってなかったな。これからはこのリボンをつけることにしようかな。俺の顔的にネクタイよりもリボンの方が似合うしな……。童顔だからな!!!
それはそうとしてプレゼントは嬉しい。それが抑えきれず、頬を緩ませていると、突然ぐしゃりと頭を乱暴にかき混ぜられる感覚に襲われる。
びっくりして顔を上げると、今度はくしゃりと頭を優しく撫でられる。……これってもしかしなくても俺、また子ども扱いされてる? でもまあいっか。嫌な感じしないし。
「貸せ、つけてやる」
「いいんですか?」
俺がスモーカーさんにリボンタイを渡す。スモーカーさんが俺の首元に手を伸ばすのを見て、俺の心臓がどくん、と跳ねた。首に触れる手が熱い。触れたところから溶けてしまいそうだ。って……何考えてんだろ、俺。男相手に緊張するなんておかしいだろ! 相手はムキムキのヘビースモーカーですよ!? 顔は良いかもしれないけど煙モクモク野郎ですよ!?
落ち着け、深呼吸……、スーハー、スーハー…………
「どうしたジェディ」
急に黙り込んだ俺を心配してくれたのか、顔を覗き込んでそう尋ねてくる。その声音は心配の色を含んでいて、ますます俺の心拍数が上がる。
うぅ~~俺の恋愛対象は男じゃない。俺はノーマル。女の子が好きなはずだ。そう思いながらも、リボンタイをつけてくれるスモーカーさんの手を見つめる。
きゅ、と結び終わった後、スモーカーさんと目が合った。
「あ、ありがとうございます……」
俺がぎこちなくお礼を言うと、今度はポンと頭に手を置かれる。そして、そのまま離れていく手。スモーカーさんは満足そうに口角を上げている。俺は熱くなった自分の顔を隠すように俯いた。
「あの、なんで俺にプレゼントしてくれたんですか?」
「もうすぐここに来て1年なんだろう」
「……あ、そう、ですね。確かに……」
すっかり忘れていたな。ここに来てから1年も経ったのか……。
スモーカーさんってこういうことに無頓着だと思ってたのにな。案外可愛がられてるってことでいいのかな。そう思うと嬉しくなって、自然と笑みがこぼれる。
すると、再びぐしゃりと髪を乱される感覚が襲ってきた。
「あわ、髪が……。スモーカーさんって俺の頭撫でるの好きですよね。犬か何かだと思ってません?」
「さァ、どうだろうな?」
うが~~~!! 絶対そう思ってんじゃん~~!!
そう思ってもスモーカーさんの手を払いのける気にはなれなくて、俺はされるがままになる。やがて気が済んだのか、最後に軽くぽんと叩いて離れて行った。俺は乱れてしまった髪を直しながら自室の方へと戻った。