太陽の光は、私の人生にも齎した
…私は今迄の人生の中で、何をしてきたのだろうか。
別に14年間何もせずに生きた訳では無い。
ただ、この14年間で何か成し遂げられた記憶。何かに打ち込んできた記憶というのが全くと言っていいほど無かった。
ただ、時間の流れに身を任せ、ごく平凡な人生を送ってきた。
何のために14年間生きてきたんだろう。私みたいな人間はこの世界にいてもいなくても変わらないんじゃないか?
私はそう考えるようになった。
今は中学3年生。絶賛受験生だった。
然し、私は勉強が嫌いだった。元々めんどくさいようなことが嫌いで、勉強もそのうちの1つだった。
だから塾に行かされたけど、そこでも集中力が続かず私に勉強をすることは向いてないのかなって思ってしまった。この受験期に。
そんなことに薄々親も勘づいているようで、私に勉強を促すようなことも段々少なくなっているような気がした。
そんな自分が情けないなんてことも知っていた。
今、勉強をしないとマズいということも。
段々周りも受験ムードになってきている中で私はいつも通り家でスマホを弄っていた。
自発的な行為な筈なのに、何故か受験ムードについていけない自分が、まるで取り残されたような孤独感があった。
それでも、勉強にやる気を起こすことはなかった。
そんな自分のことが私は大嫌いだった。
私はこの世界にいても意味は無いしそれどころか迷惑をかける側に私はいる。
私なんて生きている価値なんてない。
そろそろ私死んだ方がいいんじゃないか?このまま受験失敗する前に…
私は自分の存在について否定しだした。次第に自分をコントールする方法を忘れてしまった。
そんな時、急に何故だか分からないけど外に出たくなってきた。
それを止める理性が今は無かったので、勢いで外に出てきてしまった。
親には適当に「買い物行ってくる」とか言ったっけ。それすらも忘れるほど私は無意識に行動していた。
今、手に持っているのは自転車の鍵とさっきまで弄ってたスマホのみ。これじゃ買い物行ってくるって言ったのが嘘だって丸分かりだ。なんて考える余裕は無く、ただこの自転車を使ってどこに行こうかな。なんていうことを考えていながらも、既に自転車に乗って走り出していた。
気づいたら公園にいた。てことは、15分ぐらい無性に自転車を走らせてたのか。少し公園を見渡したらようやく正気に戻ってきた。
…はぁ〜
何でここに来たんだろう。帰るのもめんどくさいし。この公園ですることなんてないし家に帰ろう。俯きながら自転車に向かった。
…それにしても空が眩しい。今日は凄い夕日何だろうな。そう思いながら半目にして眉を顰めながら空を見上げた。
「こんなに空って綺麗だったんだ」
太陽は雲の僅かな隙間からこの世界に光を届けている。
一方雲は、その太陽の光を真っ直ぐに受け取って様々な色に変えている。
こんな美しい光景が今迄にあっただろうか。
いや、私が気づかいていなかっただけかもしれない…
私が朝から晩までずっと、家に篭ってスマホを弄っている間、毎日外では朝方から夕方まで太陽は懸命にこの世界に光を送り続け、そして沈む頃には残りのエネルギーを振り絞っているかのように、1日の中で1番の輝きをこの世界に届けている。
太陽っていつも頑張っているんだな…
それなのに私は…
よく考えてみれば、この世界は自然も含めてそれぞれが毎日働いていることに気づいた。地球だって毎日自転を欠かさないし、植物だって毎日栄養を得て成長するし、人間だってそう。
毎日それぞれの人がそれぞれの役割を果たそうと思って働いているんだ。
そう思えば、私の家に住めているのは、両親が働いたお金で家を買ってくれたおかげ。もっと言えば、家を作ってくれた人のおかげでもある。他に考えてみても、私の為に裏でサポートしているものって知らない人がやっていることが多いな…
私が生きていけるのは世界中の皆1人1人が働いてくれてるおかげなんだな…
そう考えているうちに、いつの間にか太陽はラストスパートをかけているところだった。
「あっ」
太陽が完全に見えなくなって、先程よりうすら暗い視界に何処か寂しさを感じた。やはり太陽は偉大だな…
私は何か太陽に背中を押された気がした。
この世界はそれぞれが頑張っているのだから私も勉強と向き合ってもっと頑張らないとな。
まずは、苦手意識から克服していかないとな…
太陽は世界だけでなく私の人生にも光を齎してくれた
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