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背中が
遠ざかってく
夕方の廊下
オレンジ色
窓から入る光が長く伸びて
あいつの影だけ
やけに細く見えた
あ
このまま
ほんとに
終わる
その瞬間
胸の奥が ぎゅ って潰れた
息できない
喉が痛い
追いかけなきゃ なのに
足が 動かない
俺
最低だ
好きなくせに
自分から突き放して
一人で勝手に傷ついて
ほんと
ださい
視界が ぼやけて
ぽた
床に雫が落ちた
あ
泣いてる
気づいた瞬間
余計止まんなくなった
袖で乱暴に拭いた
誰にも見られたくない
見られたら
終わりだから
⸻
ガンッ
急に 腕を 強く掴まれた
壁に 押し付けられる
びくって息止まる
目の前に
暸
さっき帰ったはずなのに
なんで 戻ってきてんの
息荒い
ちょっと怒ってる顔
でも
目
必死
「……っ」
何言ってるか 聞こえない
でも
口の動きで 分かった
『泣いてんじゃねぇよ』
どくん
心臓が 痛いくらい跳ねた
「泣いてねぇし」
反射で強がる
そしたら ぐい って 顎掴まれて
無理やり顔上げられた
近い
近すぎる
逃げられない
『嘘つけ』
たぶんそう言った
親指で 俺の目元
乱暴に拭われる
優しいくせに
雑で
あいつらしい
『一人が楽?』
『俺いなくても平気?』
『そんな顔して言うなよ』
胸が
ぎゅうってなる
「……だって」
声が震える
「お前の声」
言葉が詰まって
うまく出ない
悔しい
「聞こえなくなるの……怖いんだよ」
やっと出た
情けない声
「隣にいんのに」
「お前が何言ってるか分かんなくなんの」
「それが一番きついんだよ……」
全部
こぼれ落ちた
もう止めらんなかった
「あんな顔で笑われんのも」
「優しくされんのも」
「期待しちゃうから」
「だから離れたのに」
ぐしゃぐしゃ
かっこ悪すぎ
こんなん
見せたくなかった のに
⸻
次の瞬間
ぎゅ って 強く 抱きしめられた
ほんとに 痛いくらい
制服しわになるくらい
力いっぱい
「……っ」
息詰まる
でも
あったかい
胸の鼓動が
どくどく
直接伝わってくる
音は聞こえないのに
振動だけ はっきり分かる
安心する
なんだよ これ
ずるい
『離れんな』
たぶん
そう言ってる
『勝手に決めんな』
『俺の気持ちも聞け』
口の動き
必死で読む
涙が また溢れる
あいつ
俺の手 ぎゅ って掴んで
自分の胸に当てた
とくん
とくん
とくん
心臓
直接
手のひらに響く
『ここにいろ』
『隣』
『ずっと』
ゆっくり
はっきり
そう言ってるの
分かった
『聞こえなくてもいい』
『何回でも言う』
『お前が分かるまで言う』
『だから逃げんな』
もう
だめ
我慢とか
全部
崩れた
「……っばか」
涙声
「優しすぎ」
「好きに決まってんじゃん……」
言った瞬間
あいつ
少し笑った
安心したみたいに
『知ってる』
って口
動いた
ほんと
ずるい
こんなん
好きになるしかないじゃん