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小さなアパートに住む俺。俺の部屋は世間一般で言う汚部屋。今日もいつものようにベッドに寝転がって、天井の一点を見つめていた。その時、ぴんぽんとベルの音が頭に響いた。俺は重たい体を起こして玄関に向かった。ドアノブに触れ、ゆっくり捻る。そこには、高校の時友達だった祐がいた。
「あれ」
祐は目を丸くして言った。
「お前、乃亜か…?」
祐は俺が返事をする前に口を開いた。
「やっぱりそうだよな!久しぶり!」
そう言って、祐は俺の肩を少し強く叩く。その時、祐は動きを止めた。
「お前、部屋荒れてるけど、大丈夫?」
「え」
「ちょっと入るぞ。」
そう言って祐は玄関を上がる。俺は必死に止めようとしたが、もう遅かった。
「…。」
祐は何も言わずに立っている。俺が何も言えずに俯いていると、ようやく口を開いた。
「お前、なんかあったのかよ。」
俺はその言葉に、少し間を空けてから言った。
「…別に。」
そう言うと、祐が俺に近づいて肩を掴む。少し強い。
「掃除しよう。」
「…は?」
何を言い出すのかと思えば、まさかの説教。俺はため息をして、少し下をみながら言った。
「…掃除ができないから、今こんなことになってんだろうが。」
「お前一人でやれ何て言ってねぇよ。」
俺が顔をあげ祐の顔を見ると、祐はにこっと笑っていた。
「一緒にやろうぜ。」
俺はその言葉に目を見開いた。
「気持ちはありがたいけど、…帰ってくれ。」
「え、なん」
俺はそう言って、ドアを閉め、鍵をかけた。なぜ断ってしまったのかわからなかった。もしかしたら、この汚ならしい部屋が一番、落ち着くのかもしれない。
(汚ないっていっても、ただ物が散らかってるだけだし、ゴミが散らかってる訳じゃない。床は見えないけど、移動できるし…。)
俺はベッドに向かって、また天井の一点を見つめ直した。