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「ここは、公式を使って…」
「あっ…そっか!」
放課後の教室。
静かな教室に、シャーペンが擦れる音と2人の声だけが響く。
前を見ると、近くに明るい夕日に染まった、翔真君の顔。
思わず、ジッと見つめる。
「ん?どうかした?」
微笑みながら尋ねる翔馬くん。
「な、なんでもないっ!」
なんでこんなにも、ドキドキするのかな。
そんな時。
ガラッ!
「おい、お前ら〜そろそろ帰らないと、暗くなるぞ〜」
幕山先生が入ってきた。
「じゃあ帰ろうか」
「うんっ」
鞄に教科書を詰めて教室を出る。
最近は翔馬君と下校するようになった。
カタンッ
下駄箱の簀子から小さな音が鳴った。
出口のドアを開けると、蒸し暑い風が吹いた。
さっきまでの綺麗な夕日は、一変して湿る雨が降っていた。
「もう梅雨だね〜」
「そうだね〜!髪の毛が跳ねる時期だ…」
「あははっ」
やだなぁと思いつつ傘を探す。
「え…」
「傘…忘れちゃった」
なんでこんな時に限って…
「入る?」
いや、無理無理無理!心臓もたない!
「いや、でも…」
「帰れないでしょ?濡れちゃうし。」
「じゃあ…お言葉に甘えて…」
するりと傘に入る。
近いっ…!
頭と肩がぶつかる距離。
背の差結構あったんだ…
私の頭が翔馬君の肩ら辺までしかない。
傘を握る手もゴツゴツとしていて男の子らしい手。
そうだよね、翔馬君だって男の子だもん。
そう思った途端、ぼわっと顔が熱を持つ。
「それで、あいつがさ〜!」
「えぇー!なんでーww」
何気ない話も楽しい。
そんな時。見たくなかった。
嘘だと思いたかった。
「きゃははっ!」
凄い笑い声だなぁ…
「……あ、」
「どうした?」
違うよね…!
「絢…?」
「え?」
「あ、天音!?」
信じたくない。
いかにも、40代の男性に甘い声で話す絢が居た。
「あ、絢チャン?どうかしちゃったのカナ?」
「あ、田中さぁん!何でもないよぉ?」
「そう?ならいいけど!」
「ほら、早く行こぉ?」
「そうだネ!」
そう言って去っていく絢とおじさん。
「…っ!」
どうして睨むの?ねえ…絢…
「あれって…」
「絢…」
「とりあえず、ここ離れよう」
「うん…っ」
その日は、翔君に慰められながら帰宅した。
次の日
教室の扉を開けると、ガヤガヤとしていた教室が、シ-ンと静まり返る。
「…え、どうかした…?」
何かあったのかな。
「ねぇ…天音ちゃんってほんとに…」
「そうなのかな…でも…」
コソコソと小さな声で囁かれる。
その時、聞こえてしまった。
静まり返った理由が…
「パパ活してるんだって…」
「………え?」
パパ活…?私はそんな事してな…
「関わるのやめよ…」
「きも…」
「や、わ、私、そんな事…」
してないよ…
「否定するとか…ほんとだったりね…」
なんで…
聞き覚えのある声。
コソコソと話す声ではなく、わざと聞こえるように言う声。
そう、絢の声。
声の方に目をやれば、不潔な笑顔を浮かべながら、こちらを見る絢。
なんで?パパ活やってるのは絢でしょ…?
「ガチなん?w」
「パパ活ってw金ないんかよw」
もう、皆隠して言うというのは辞めて、私に刺すように言葉を投げる。
そんな日々は何日も続いた。
でも、休みたくなかった。
休んだら、負けの気がする。
「うっ…うぅ…ひくっ」
学校に来ていても、教室から逃げて、非常階段で黙って泣いている私は、もう、負けている。
そう言えば、ここの非常階段で、翔馬君と話したなぁ…
もう1ヶ月経ったんだ…
やっぱり、翔馬君って言う人気者と仲良くなれた時、運使い切ったのかな。
「もうやだぁ…っうぅ…」
でも、いつかは神様が味方してくれる。
「天音」
優しい声。
「翔馬…君っ…?」
「負けないで。」
「天音は凄いよ。休まないで、立ち向かってるんだもん。」
「でも、逃げてるよっ…?」
「来てるだけでも凄いんだよ。授業が始まる時には戻ってきて、ちゃんと授業受けて。」
「何か言われても、本人達の前では泣かない、天音は強い。」
「だから、やり返してやれ。」
「…良いの?…怒られるよっ…?」
「うん。なんか言われたら俺が守る。」
「…翔馬君」
「ん?」
「私、勝ってくる。」
「っ!…頑張れ」
「うんっ!」
それから、一週間が経った。
【作者ノート】
ゆ、許せん…!
書き終わってから思ったんやけど、中学生でパパ活って出来んのかなヾ(=д= ;)
まぁ、適当に流してもろて!
次は遂に反撃にでまふ!
お楽しみに〜!
おそら!
ちなみに、南乃ちゃんは影で皆に、
辞めよう?等と説得しています。
神ですねぇ!