テラーノベル
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現在、吉田仁人は先生の許可を得て資料室を訪れていた
どうやら、過去の資料を探し生徒たちの能力について調べているらしい
仁人「この資料も違うな……」
資料を一枚一枚確認しながら吉田ははうーん、と唸った
目当ての資料はなかなか見つからない
そんな中、ふと棚の上の方に目を向けるといかにも有力な情報が入っていそうな箱が置かれていた
仁人「……あれ、怪しくないか?」
よいしょ、と背伸びをして手を伸ばす
しかし、あと少しというところで届かない
仁人「うー、あとちょっとなんだけど……!」
ちなみに、吉田仁人は成人男性の平均身長ほどある
それなのに、この学園はなぜか棚も机もその他諸々やたらと大きいのだ
一体、誰を基準に作られているのだろうか
仁人「っ、もうちょっと……!」
何度手を伸ばしても箱には届かない
とうとう痺れを切らしかけたそのとき
勇斗「よっと、これ?」
仁人「っ! そう、ありがと!」
いつの間にか隣に来ていた佐野がひょいっと箱を取ってくれた
吉田はこれでようやく調べられると安心した
……のも束の間
佐野は手に持った箱をさらに高い棚の上へと置いた
仁人「……は?」
勇斗「ん?」
仁人「なっ、なんでだよ!? 取ってくれたんじゃないのかよ!」
勇斗「えー? いつ俺がそんなこと言った?」
悪びれる様子もなく佐野はニヤニヤと笑う
勇斗「取ってほしけりゃ可愛くお願いしな?」
仁人「はぁ!?」
そう
この男、佐野勇斗は好きな子ほどいじめたくなるタイプなのである
……本当に吉田を振り向かせる気はあるのだろうか
仁人「誰がお願いなんかするか!」
勇斗「えー、いいじゃんちょっとくらい!」
仁人「うるさい!」
勇斗「ほらほら、仁人さーん?」
仁人「勇斗ぉぉ!!」
資料室に吉田の怒声が響き渡る
そんな2人のやり取りを扉の向こうから眺めていた人物がいた
柔太朗「……何やってんのあの2人」
呆れたように呟きながら山中は資料室の扉からひょこっと顔を出した
そして、吉田が必死に手を伸ばしている箱を見つけるとふと思いついたように笑った
柔太朗「はい、よっしーこれなら取れるでしょ?」
その瞬間
ふわり、と吉田の身体が宙に浮いた
仁人「……え?」
突然、足が床から離れ身体が宙へと持ち上がる
山中の能力によって吉田にかかる重力が無効化されたのだ
仁人「おぉ、なるほど!」
吉田はすぐに状況を理解すると浮かび上がった身体をうまく使い棚の上の箱へと手を伸ばした
そして――
仁人「よし、取れた!」
無事に箱を手に入れた吉田は満足げに頷いた
柔太朗「はい、じゃあ戻すよー」
山中が能力を解除すると吉田の身体はゆっくりと床へ戻っていった
仁人「柔太朗、ありがとな!」
柔太朗「どういたしまして」
吉田は箱を抱え直すと佐野の方を振り返った
そして
仁人「べーっだ!」
思いっきり舌を出してやった
勇斗「はぁ!? ちょ、仁人!」
しかし、吉田はもう聞く耳を持たない
箱を抱えたまま意気揚々と資料室を出ていってしまった
勇斗「……柔太朗、余計なことすんなよ」
柔太朗「はぁ……勇ちゃんさぁ好きな子には優しくしないとだよ?」
勇斗「……うっせ」
柔太朗「はいはい。じゃ、お邪魔しましたー」
そう言い残し、山中も資料室を出ていく
一人残された佐野はしばらく扉を見つめたあと、困ったように頭を掻き
仁人が可愛いのが悪くない?と反省の色なし
勇斗「……はぁ」
小さく息を吐いたあと佐野は吉田の後を追うように資料室を後にした
― 山中柔太朗の能力 ―
重力を無効化する
ただし、まだ完全には使いこなせていないため能力の効果や持続時間は安定していない
コメント
2件

めちゃくちゃ可愛い✨️ 箱が取れず背伸びするのも べーするのも 可愛すぎるᐡ⸝⸝> ̫ <⸝⸝ᐡ 続き楽しみです
ああもう、めちゃくちゃ可愛いじゃないですか! 仁人の背伸びしてる姿とか、佐野の絶妙な意地悪加減とか、もうニヤニヤが止まりませんでした。でも一番グッときたのは、柔太朗が重力無効化でふわりと浮かせて助けてあげたところ。さりげなく能力を使ってフォローする優しさと、その後「勇ちゃんさぁ好きな子には優しくしないとだよ?」って冷静にダメ出しするところが、彼の観察力と距離感を感じさせて好きです。最後の仁人の舌出しで佐野が一瞬困った顔になるところも可愛くて、この三角関係のバランスが絶妙だなと思いました!
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ゆき
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