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放課後。
蓮はいつもみたいにひまりの教室へ向かってた。
別に約束してるわけじゃない。
でも最近、放課後になると自然に足がそっち向く。
「また行くの?」
後ろから美咲が笑う。
「ほんとわかりやす」
教室の前まで来ると、中はまだ騒がしかった。
でも。
「あれ、神崎くん」
ひまりの友達のひとりが気づく。
「ひまりならもう帰ったよ?」
蓮が少し眉上げた。
「帰った?」
「親がお迎え来たみたい」
ちょっとだけ残念。
自分でも笑える。
まだ数週間くらいしか話してないのに。
「えー、迎え来たのに会えなかったじゃん」
女子たちがニヤニヤし始める。
「かわいそ〜」
「毎日来てるのにね」
蓮は笑った。
「別に毎日じゃねぇし」
「いや来てるって!」
騒がしい。
でも蓮は特に否定もしない。
ただ適当に笑ってるだけ。
それが余計怪しい。
「ねぇねぇ」
ひまりの友達のひとりが、蓮の近く寄った。
「ひまりのこと本気なの?」
興味津々って顔。
周りも静かになる。
蓮は少し考えるふりしてから笑った。
「なわけ」
軽い返事。
「えー!」
「でも扱い違うよね?」
「そう?」
「だってひまりちゃんには優しいじゃん」
蓮は肩すくめる。
「普通」
でも実際、ひまりの前だと少し違った。
軽すぎること言わないし、 無理に距離詰めないし、 遊んでる感じも出さない。
ちゃんと“いい男”やってる。
その方がひまりには効きそうだから。
「じゃあさ」
別の女子が笑いながら言う。
「ひまりいないし、今日うちらと遊ぼーよ」
「いいよ」
「久々じゃん!」
蓮は少し笑った。
女子たちが騒ぐ。
美咲は少し離れたところからその会話見てた。
……やっぱり蓮だ。
さっきまで“ひまり迎えに来た男”みたいな顔してたのに、 いなくなった瞬間これ。
女の誘い断らない。
距離感近い。
期待持たせる。
昔から変わんない。
だから安心する。
「お前ほんと最低」
美咲が近づきながら言う。
蓮は笑った。
「なにが」
「ひまりちゃんには一途ぶってんのに」
「ぶってないし」
蓮は笑った。図星だから。
「お前も来いよ、美咲」
ひまりの前では、“遊んでる自分”を出してない。
出したら警戒されそうだし、 たぶん嫌われる。
だからちゃんとしてる。
優しくして、 丁寧に扱って、 安心させる。
そうやって少しずつ落とすつもりだった。
今までだって、そういうの得意だったから。
カラオケ
「蓮くーん!」
女子が隣ぴったり座ってくる。
肩寄せながら笑う。
蓮も普通に笑い返す。
ひまりの前では絶対しない距離感。
腕を引っ張られる。
蓮は適当に相手してる。
その姿見ながら、美咲はジュース飲んでた。
「ほんと変わんないね」
「なにが」
「ひまりちゃん特別扱いしてるくせに、普通に他でも遊ぶとこ」
蓮はソファにだるそうに寄りかかった。
「まぁ暇だし」
軽い。
その感じに、美咲はちょっと安心する。
やっぱり本気じゃない。
かわいいから追ってるだけ。
そのうち飽きる。
今までみたいに。
「てかさ」
女子のひとりが蓮の腕掴みながら笑う。
「最近ほんとひまりちゃんばっかじゃん」
「そう?」
「うん。前より連絡返ってこないし」
蓮は少し笑った。
「ごめんごめん」
適当。
でも、その瞬間。
スマホが震える。
画面には ひまりから。
たったそれだけで、蓮は無意識に少し口元緩んだ。
美咲はそれを見逃さなかった。
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#イケメン
蒼乃 月
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