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――自由の異能。
タクトが放った「警告」によって、ルシファーの支配が一時的に弱まり、彼は一瞬だけ無力化された。しかし、それが全ての終わりを意味するわけではない。ルシファーはすぐに立ち直り、怒りを露わにした。その目が、鋭くタクトを捉える。だが、その視線の先には、もう一人の人物がいる――
「ミカエルか。」
タクトはその言葉を心の中で呟く。ミカエルが現れると、何もかもが変わる。彼は、ルシファーの元でも戦い続けた天使であり、またタクトにとっては面倒な存在でもある。しかし、今はその戦いが三つ巴の戦いとなることを予感させる。
ミカエルはその場に現れると、周囲の空気が一変した。彼の背後には無数の翼が広がり、天使としての存在感が全てを支配する。だが、その表情はどこか暗く、迷いを含んでいた。
「タクト……」
その声は冷たく、響き渡る。ミカエルはタクトの方を一瞥し、そしてまたルシファーに視線を戻す。
「お前がいる限り、俺は終わらない。」
彼の言葉には、明らかに葛藤があった。ミカエルは長らく戦い続けてきた。だが、今は違う。タクトと戦う理由もないし、ルシファーの側に立つ理由もない。しかし、自由を手に入れることもまた、彼には大きなジレンマだった。
「お前は、どんな選択をする?」
タクトはその言葉に応えるように、ゆっくりと足を踏み出す。その目には冷徹な決意が宿っている。
「戦うのか?」
ミカエルは一瞬、迷いの色を見せた。だが、すぐにその目の中に決意が宿った。
「俺は……自由を選ぶ。」
その言葉とともに、ミカエルの両手がひらりと広がる。その瞬間、空気が一変する。彼の異能――「自由の異能」が発動する。
「自由……?」
タクトはその異能の発動に気づくと、すぐに警戒を強めた。ミカエルの力は決して侮れない。あの異能はただの物理的な力ではなく、精神的な束縛を解き放つ力だ。誰もが束縛され、縛られた存在である中で、ミカエルはその束縛を解き放つ力を持っている。
ミカエルがその力を解放すると、周囲の空間がまるで変わったかのように見える。彼の存在そのものが、あらゆる縛りを断ち切り、自由をもたらす。その力がタクトにも、そしてルシファーにも影響を与えることは間違いない。
「さて、どうする?」
タクトはミカエルとルシファーの間に立ちながら、戦況を見守る。ルシファーはまだ怒りを抑えきれず、その目に敵意を宿している。そしてミカエルは、どこか迷いながらも自由の異能を振るい続ける。だが、その力がある限り、二人の間に決着はつかない。
「自由を選ぶなら、戦いは避けられない。」
タクトが一歩踏み出すと、ミカエルとルシファーが一斉に反応する。その瞬間、三人はそれぞれの異能を駆使し、戦いが始まる。
タクトはまず、速攻で「警告」を放つ。その瞬間、時間が一瞬だけ遅くなり、周囲の空間が変化する。ミカエルの自由の力が一時的に無効化され、ルシファーもその攻撃を避けることができない。だが、タクトはその後ろに隠れるように、すぐに身をかわす。
「これが、俺だ。」
タクトは瞬時に自分の身体を移動させ、物理的な接近を試みるが、ルシファーはそれを見逃さない。瞬時に足元に現れる「法律」の力が、タクトの動きを封じ込める。だが、タクトは微笑んで、すぐに反応する。
ルシファーは笑みを浮かべながら、自由を得たミカエルに視線を向ける。
「お前の力はもう通用しない。法律はどんな自由も制圧する。」
その言葉に、ミカエルは微動だにせず応じる。彼の自由の異能が、ルシファーの法則を打ち破り、再び場に変化が生まれる。
「それでも……俺の力は止まらない。」
その言葉を聞いたタクトは、ミカエルの動きをよく見ていた。その力の根源――それがどれだけ強力であっても、今はまだ完全には使いこなせていないことを見抜いていた。だからこそ、この戦いにはまだ勝機がある。