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nswn
ネスだけわかるんです
店を出ようとした時見慣れたピンクが目に入った。
普段は派手なピンクも、夜の街になら溶け込むらしい。
少し、ほんの少し嬉しくなって口角が上がった。
「ウェンさん、ウェンさん」
少し早足で近づいて肩を叩いた。振り返ったときの
何も考えてなさそうな顔は、案外可愛い。
「あれ?榊ネスゥ⤴︎じゃん。どうしたのー?」
相変わらずな言い方に笑いが零れる。
そんな様子の俺なのにこの人は相変わらずか 、
答えてくんない?ってキツすぎない?
「特になんもないです、見つけたから来ました」
「ふぅん、あ、じゃあ、飲み行こうよ」
何気なく言われた言葉に嬉しさが爆発した。
きっと今俺はまあ、凄くしっぽを振った犬なんだろう。
「え、おごってくれるんすか!?」
「wもちのろん」
嬉しさで爆音が口から発射された。その声にウェンさんは
笑ったかと思うと、すっごい、それはもうとんでもないドヤ顔で
奢るよと宣言。その瞬間、あまりの歯ぶりの良さに
野生の勘が働く。もしかして、もしかしてだが。これは、
「…え、もしかして」
「勝ちました」
俺が全部を聞く前にすっごい腹立つ顔で勝ちました宣言。
これにはおれも白目を向いて倒れそうになった。
しかも、何が酷いって、ウェンさんは買ったという証拠にか
札束をばさばさと振り 始めた。苛立って出た言葉は
「ウェーン!赤城ウェン!!てめぇ!」
これだった。もはやこれは、後輩ではない。
にじGTAを思い出した。
「www、どうだ、悔しいだろうw」
すっっごい笑顔で言うもんだから
この人の本職はヒーローではなく魔王か悪魔だろうって思った。
「あれ、その反応ってことは、さては負けたなw」
「確信持たずに煽ったのかよ!」
あまりにも予想外で、苛立って、思ったことが口から出た。
俺が思ったこと全部口走るもんだからウェンさんは大爆笑。
相変わらずのとんでもないヴィラン笑い。
「はーぁ、つかれたぁ。おけおけ、じゃ、飲み行こかー」
俺がまだ何も言っていないのに手を引かれて強制連行だ。
なんとも言えない感情のまま後ろをついて行った。