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イギフラの小説が頭に浮かんできたので消化しようと思って書いたやつです。
温かく湿った空気。ロンドンは私をなんともいえない気分にさせる。
紅茶の香りが漂い、鼻を掠める。右手にはティーカップ、左手にはフランスの右手。
「…」
耐え兼ねたイギリスは、
「…何です?」
見るからに不機嫌そうな表情で言ってみせた。
「『何です?』じゃないよ!」
呆れたような声でフランスが視界を遮る。
「いつまで待たせるのさ君は!かれこれ二時間だよ!?もうそろそろ何かあってもいいと思うんだよ僕は! 」
――一体二人に何があったのか。
――三時間前――
「なんで私が……」
ぶつくさと物言いながらロンドンを周っていたイギリス。なぜフランスに呼び出されたのか分からぬまま待ち合わせ場所に指定された公園へ向かう。
「ふふ、なんともフランスらしい公園ですね。ムカつくくらいに。」
しかしフランスはなかなかやってこない。三十分経ってようやく息を切らしながら走ってきた。
「……遅い。」
「ごめんて。後で何かプレゼントするからさ!機嫌直してよ〜!せっかくのデートなんだし!」
「…え?」
一瞬何を言っているのか理解できなかった。……デート?私と?フランスが?三十分も遅刻した立場で何を言っているのだろう。
「だからデートだって。」
「いや聞こえてますよ。理解ができないんです。だってほかの方々はどうしたんですか?」
そう、フランスは他の欧州のほぼ全員に声をかけ、メールを送った。それを私は見たはず。その後で間違っていないか聞いたはず。
「あ〜…あれね、ちょっとしたトリックだよ。時刻一緒にして、日にちをずらしちゃった!」
間近で見る所謂「てへぺろ」に目を丸くさせるしかない。まあ、日にちをずらしたのなら仕方がない。そう覚悟を決める。さて、ここはひとつ深呼吸して落ち着こう。
「はぁ…で、どこに行くのですか?」
「さっすがイギリス!話がわかる〜!」
フランスはイギリスの手を引っ張って、強引なくらいお店を回った。
さて、他のヨーロッパの国々は。
「ドイツ〜!あっちのアトラクション面白そう!」
「はいはい。今行くよ。」
ヨーロッパ公認カップルのイタリアとドイツは遊園地で遊び、
「次何見る〜?」
「イギリスたちの近くの防カメ。」
「え?怖っ。」
「冗談だって。」
スペインとポルトガルは家で映画を見ながらおうちデート。…と言った具合に自身の恋人と楽しく過ごしている。
――「だから!僕たちもデートしようと思って。」
そう言い太陽の光を浴びているフランスはやけに眩しく見えた。
長年「栄光ある孤立」をかかげていたイギリスはそれ故に家族以外と仲が良いわけではない。
でもフランスは、昔からイギリスを気にかけていた。たとえ、戦争をしたとしても。決して見放すことはなかった。
「…そうですか…」
それに気づいていたイギリスは、ずっと、その強さに、寂しさに、憧れを抱いていたのかもしれない。ライバルとして。親友として。そんな言葉じゃ抑えきれないくらいに。
「着いた。」
「…っ、ここって…」
「へぇ、覚えてるんだ。」
記憶力あるねぇ、と言われたその場所は、二度の世界大戦で勝ったことを祝うために、二人のためだけに作られた小さな小屋。二人揃ったとき以外、入らないようにしていた場所。
「何か、久しぶりに来たくなってさ。ここに。一応必要なものは用意したし。」
そう言って取り出したのは、さっき街を周ったときに買ってきたワイン。
頑張った。
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