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続きぃ⬇️
「今日は月が昇るまで飲み明かそうよ。」
「…」
「どうしたの?」
ワインを出され怪訝そうな顔をするイギリス。
「フランス?私…下戸なの昔言いませんでした?」
言い終わり一拍空けてフランスは赤面しながら「そうだったっけ?」ととぼけている。
「そうですよ。…私はいつも通り…紅茶にします。ワイン、入れて差し上げましょうか?」
「いやいい…一人で入れるよ。」
その顔はどこか悲しく、寂しく、上から喜びを重ねているようだった。
――今は十二月。
まだ雪が降らず、降るのを今か今かと待っている子供達をよく見かけるようになった。
「僕、子供ってね、自然がないと生きていけないと思うんだ。」
「どうしたんですか急に、」
「いや、何でも。」
酔っているのか?と思ったりもしたが、まだほろ酔いのようだ。
「ねぇイギリス、――――”結婚”しようよ。」
「は」
何を言っているのだ。こいつはライバル、こいつは戦友。恋愛感情なんて、持ってはいけない。結婚なんてもってのほか。第一なぜ”あの”フランスにプロポーズをされているのだ、私は。今更デートだなんておかしいと思っていた。やっぱりだった。
愛人なんぞいくらでもいるだろう。ドイツにスペイン、イタリアに…遠くアジアの国まで。
「――ス!」
私は「栄光ある孤立」をしていたというのに。それ故にお前以外にたよるものはいないというのに!私は――!
「イギリス!」
目の前に見えたライバルに向けて私は言った。
「私には貴方しか居ないのに!どうしてすぐ離れていくんですか!離れていくのなら――今更…今さら話しかけてこないで!」
そのまま怒りの限り出ていこうとした。――でも。
「まあ、落ち着いて?僕の話を最後まで聞いてよ。」
言われるがままベランダにある梯子の足掛け場に座った。
いつもは甘いダージリンティーモ冬には苦味が増えてくる。
ワイングラスを片手にうずくまって座るフランスには重い影が見える。
「僕らはさ?二度の大戦で勝利したわけでしょ?でも失った物ばかり数える。その中には子供や自然も沢山、ね。 」
そう話す横顔を見ていられず、紅茶に映る自分の顔に目をやる。
――「え?」
何故涙が?長々と三十分、会話をしていた。それだけなのに。
「中、戻ろっか。 」
そう言われ手を握りながら小屋の中に戻った。
「…………少し、一人にしてもらいたい…」
「え?」
「いや、何でもありません。」
フランスの重みを少しでも救いたかった。一人にさせてはいけないと。
そう、思った。
でも話すことがない。
そうしてあの状態になった。
――現在――
「『いつまで待たせるの』と言われましても…」
「…――めた…」
「何です?」
「『待つのはやめた』。今すぐヤろう?ヤれば結婚しなくちゃいけなくなるもんね!」
「へ?ちょっと待っ…何で貴方はすぐそういう思考になるんですか!?そもそもここベッド無…――。」
あった。ソファという名のベッドが。
「ここでヤるしかないよね。」
張り切った顔で姫抱きをしながらイギリスをソファまで運んできたフランス。
彼らの夜は始まったばかり。
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