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レストランが軌道に乗り、あっという間に1年が過ぎた。



「やっと今日を迎えられた」



樹の白いタキシード姿が眩し過ぎてドキドキする。



「うん、そうだね」



私も、白いウエディングドレスに身を包んでいた。2度と着ることはないと思っていたのに……

今日、大好きなあなたのために着ることができて、すごく嬉しい。



樹のお嫁さんにしてもらって、私は今、どうしようもないくらい幸せだ。



由緒ある教会での結婚式。

お互いの家族を招待して、初めて顔を揃えた。私達のことは、家族みんながとても祝福してくれてる。



嬉しいことに、真奈と良介君も来てくれた。

涙を流して喜んでくれた2人には、心からありがとうと言いたい。



そして――

柊君にも招待状は出したけど、やっぱり来てくれなかった。

仕事が忙しいだろうから、仕方ないけど……



「樹さん、柚葉。これ、2人に渡してくれって、社長から預かってきました」



真奈が、私達に渡してくれたのは1枚のカードだった。私が中を開くと、柊君の綺麗な文字で『結婚おめでとう、末永くお幸せに』と、ただそれだけ書かれていた。



その瞬間、柊君の優しさがジンジン伝わってきて、涙が滲んだ。



「柚葉。社長ね、毎日本当に頑張ってるよ。会社も上手くいってるし。それに、笑顔が増えたなって思うよ」



真奈が、柊君の様子を教えてくれた。



「そっか、柊君、元気で頑張ってるんだ……。あんまり無理しないで体に気をつけてって、柊君に伝えて」



「うん、わかった。樹さん、柚葉のこと本当にお願いします。絶対に幸せにして下さいね。もし、柚葉を泣かせたら私が許しませんから」



「ああ、わかってる。任せろ」



樹が、ニコッと笑ってうなづく。



「真奈、良介君、来てくれて本当にありがとう」



「柚葉ちゃん、幸せにね。俺も、真奈をちゃんと幸せにするから。そういえば、柚葉ちゃんにも言われたよね。真奈を泣かせたら許さないって」



良介君が苦笑いしながら言った。



「私、そんなこと言いましたっけ?」



言ったことはハッキリ覚えていたけど、わざとごまかした。



「柚葉も、真奈ちゃんも怖いな」



みんなと楽しく会話して、ある程度緊張がほぐれた時、教会での式が始まった。厳粛な雰囲気の中、夫婦になるための儀式が行われた。



指輪交換のあと、誓いのキス。

樹は、私のベールをゆっくり上げた。見つめあう私の目には涙が潤み、綺麗で優しい樹の瞳にキュンとした。



私達、本当に夫婦になるんだ――



ようやく実感が湧き上がってきて、私は本当にこんなに幸せでいいのかと思った。



樹みたいな素敵な人は、他には絶対にいない。

隣に立つ超イケメンの樹は、ブライダル雑誌に出てくるようなモデルみたいで、私にはもったいないくらいの王子様だ。



優しいキスが5秒間――

樹は、少し照れたように微笑んでる。



うん、間違いない。

この瞬間の私は、世界で1番幸せだ。

何度も何度も、しつこいくらいにそう思った。

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