テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「昼休み、屋上で待ってる。昨日の続き話したいし」
心臓がドクンと跳ねた。
「っ……うん、分かった」
短く頷くと、彼は嬉しそうに笑みを浮かべる。
その笑顔はどこまでも明るく眩しく、僕の暗がりに射す一条の光のように見えた。
担任の呼び声が教室の扉で響いている。
僕は鞄を机に置くと、急いで自分の席に向かうために歩き出した。
これから何を話すのか分からないけれど、なぜか心がほんのり温かい。
この温かさが続いてほしいと願いながら。
昼休みまでの時間を待ち遠しく思ったことは、これが初めてかもしれない。
そんな小さな変化を感じながら
僕はいつものように椅子に腰を下ろした。
◆◇◆◇
昼休み───
約束通り僕は屋上に向かった。
フェンス際に佇む天馬くんを見つけたとき
昨日までと少し違う自分を感じた。
これまでなら緊張して近づけなかった場所でも、今はあまり躊躇いなく歩み寄れる。
「天馬くん、ごめん待った…?」
「いや、俺も今来たとこ」
互いに座り込むと、自然と話し始める。
昨日打ち明けた過去について
天馬くんは「変じゃない」と言ってくれた。
その言葉がまだ胸の奥で温かく残っている。
「水瀬、あのさ」
「?」
「昨日の話で思ったんだけど、水瀬を虐めたのって、不良グループなんだよな?」
その問いかけにドキリとする。頷くだけで喉がつまった。
「うん…それが、どうかした…?」
「いや、水瀬…美術部で俺が話しかけたときからビビってたのかなって、ほら。俺結構派手だし」
天馬くんが自分の頭を軽く撫でながら苦笑する。
「えっと…ごめん。正直…最初は、怖かった」
僕は言葉を選びながら答えた。
正直な気持ちを伝えようとすると、少しずつ言葉が出てくる。
「やっぱりそうだよな~…」
天馬くんは困ったような笑みを浮かべる。
でもその瞳には怒りも嫌悪も見えない。
優しさだけがある。
「……ご、ごめん。その…僕のこと虐めてたの、リーダー格の山田くんって人なんだけど、金髪でピアスもバチバチにしてたから……派手な人見るとどうしても、身構えちゃって…」
僕は続けて言った。
「不快にさせたよね…ごめん天馬くん」
「なんで水瀬が謝るんだよ」
「…だ、だって…また、なにかされるかもって、天馬くんのこと見た目だけで判断しちゃってたから…申し訳なくて」
天馬くんは目を丸くしたあと、少し眉を下げて笑った。
「なにかされるかもって…絵破られるとか?」
「ぅ、うん…また、殴られるかもって、キモイとか言われるかもって……ごめん、最低だよね」
#シリアス