『バスほど大きな翼のプテラノドン〜♪』
『すいちゃ!何歌ってるの?』
『きょうりゅうさんの歌!』
『きょうりゅう好きなの〜?』
『ううん。可愛くないから好きじゃないよ?』
『じゃあなんで歌ってるの?』
『ん〜、おばあちゃんがよくこもりうたで歌ってくれたから!』
『へぇ〜!そうなんだ✨』
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あの頃、みこ達は4歳だったかな?すいちゃんがよく『恐竜のうた』を歌ってた。
小さい頃、みこは人見知りだったから友達ができなかったんだ。そんなみこに話しかけてくれたのは【星街すいせい】だったんだ。友達でもあり初恋相手でもある。みこも良く恐竜のうたを歌うようになった。
『あれはきょうりゅうかいの王様ティラノサウルス!〜♪』
『ふふ、みこちうた上手くなったね?』
『すいちゃんの方がうまいよ!将来うたひめ?になれるんじゃない?』
『ほんとっ!そう思ってくれる?』
『うん!みこ、応援する!』
みこはそう言った。ファン第一号だ。
けど高校に入るとすいちゃんは本格的に目指すようになった。そのせいでみこ達の関係が崩れていったんだ。
「すいちゃん、、、帰れる?」
「無理。」
「ああ、、どうだった、オーディション……」
「落ちたけど。」
「そっか、、、でも次g」
「うるさいなぁ!!次なんてないんだよ…毎回毎回頑張っても落とされるこっちの身にもなってよ!」
「っ……ごめん、、、」
悲しいなぁ…ファンに向かってそんなこと言ったらファン逃げちゃうよ?
みこは結局スバちゃんと帰った。
「みこてぃ、大丈夫?」
「え…?大丈夫だよニコッ」
「…そっか、なんかあったら相談するんだよ?」
相談か、、、すいちゃんに相談されたことなかったな。トワとかあくたんにはよく相談するらしいけど。
頼られてないのかな…
「苦しいなぁ〜w」ポタポタ
「ちょっ、みこち!?大丈夫か!」
スバちゃんの前で泣いてしまった。スバちゃんはみこの家まで遠いのに送ってくれた。
スバちゃんのこと好きになればよかったのに。そう思ったがやはりすいちゃんの顔が浮かび上がってくる。
あんなこと言われたのにみこはまだすいちゃんのことが好きなんだ。
「バスほど大きな翼のプテラノドン〜♪」
やはりまだあの曲が頭から離れない。すぐに口ずさんでしまう。
泣いてしまって疲れていたのか朝になっていた。時計を見ると7時56分でびっくりした。
猛ダッシュで学校へ向かったら遅刻ギリギリセーフの時間だった。
安心しきっていたが昨日のすいちゃんの顔が忘れられない。相当落ちたのが悲しかったのだろう。みこはすいちゃんの気持ちを理解しきっていなかったのだろうか?いつも隣にいたのにもう隣にはいない。泣きそうになるが耐える。これがオーディションに落ちた時の感情なのだろうか。
授業中はずっとすいちゃんのことを考えていた。あっという間にお昼の時間だった。
すいちゃんは高校に上がってから一緒に食べないようになり。スバちゃんやミオちゃん、フブさんと食べていた。
フブさんは今日風邪で休み。ミオちゃんは委員会。スバちゃんはルーナと食べるらしい。
一人か、、、どうせなら人がいない屋上で食べるか。屋上につながっている階段を上がっていくと、綺麗な水色の髪の毛が見えた。偏食のくせに痩せている後ろ姿。
「すいちゃん?」
話しかけたらすいちゃんは、、、
「え、?泣いてる」
すいちゃんは泣いていたのだった。
「みこち。私もう夢を諦めようと思うんだ!」
泣きながら満面な笑みでそう言った…
「なんで!?」
「なんでって、もうこんなにオーディション行ったのに受からないし、オーディションのために学校休んだりしてるから、先生に怒られちゃった、、、」
遠い目をしている。そんなすいちゃんにみこはもう限界だった。
「そんなのおかしい!すいちゃんはこんなにも頑張って将来の夢に向かって言ってるのに、先生がそんなこと言うなんて、みこが文句言ってやる!」
「やっ、ちょっと待って…大丈夫だから」
「すいちゃんを泣かせる奴なんて許さない!」
みこはその後先生に言いに行き、すいちゃんに向かって謝らせた。
「ありがとね、みこち。それとごめん。あんなこと言って。」
「大丈夫だよ。みこは夢に向かって頑張るすいちゃんが好きだから。」
「……そっか///」
あ、照れた。可愛いかよ
「すいちゃんね、オーディションの時緊張しちゃってところどころ途切れちゃうんだ。」
すいちゃんはなんでもできる女と言われているが、そんなことない。弱々しい女の子だ。
「じゃあみこも行くよ一緒に。」
「そっか、ありがt…えっ?!」
「だって緊張するんでしょ?しかも大人になってすいちゃんと離れ離れはやだよ。」
「そっか、、、うん。すいちゃんもやだ。」
嬉しいこと言ってくれるじゃないか。やっぱりすいちゃんは可愛い。
みこ達はオーディションを受けに行った。隣を見ると緊張している様子のすいちゃんがいる。
みこは緊張をほぐすために歌った
「バスほど大きな翼のプテラノドン〜♪あれは恐竜界の王様ティラノサウルス〜♪」
「ちょっ、みこち!?面接官の前だよ!」
「ははっ、随分面白い子達だ。」
そう言われた。結果は『合格』だった。すいちゃんは嬉しさのあまり泣いてしまった。この泣きは許せるなぁ。
すいちゃんはみこの胸の中で5分近くは泣いていた。みこは頭を撫でながら心の中で喜んでいた。
みことすいちゃんが付き合って何年前のお話だっけ?
「あの頃は懐かしいなぁ〜」
「うるさいなぁ//」
「ふふっ、可愛い顔してるね?今晩も寝かせないよ?」
コメント
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好きぃ...(( 師匠さすがっす、見習いたい...()