テラーノベル
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もし、全て狂えてしまったらどんなに楽だろうか。
ありえないもしもを考えながら古龍会議とやらに向かう龍に連れられてゆく。
私の身に寄生するいきものは私を狂わせ苦しめる。
たすけてくれ。
たすけてくれ!
もういっそ、殺してくれ!
どれだけそう願っても声にならない声を聞けるものは居らず。
私の狂ったところは暴れまわる。
戦いたくない。壊したくない。
毒は体を蝕み、狂気に堕としていく。
戦いたくないと無理やりにでも体を止めようとしても止まらない。
ぁあ…母様の寝物語で聞いた告死の龍に会えないだろうか…そして、私を終わらせてくれ…
無理やりにでも翼を止めようとするが狂気が無理やり体を動かす。
そうして飛んでいると先導していた龍が降りてゆく。
ああ…ついてしまった。
どうか、どうか!できる限りのことはするから私を蝕むいきものが、この先にいる龍たちを蝕みませんように…
陸に降りて顔を上げると目に入ってきたのは…
強烈な青と、静かな黒灰色。
その瞳は夕闇に染まる空のよう。
宝石のようなその龍が動き出すまで、きっと私の時は止まっていた。
母様の寝物語に、青と灰の宝石のような揺籃の龍がいると聞いたことがある。
夕闇の溶けた瞳に射貫かれ、動けなくなる。
「ああ、やっと来たんだね。暴風のクシャルダオラ…おや?新しい参加者かな?ようこそ。古龍たちの集会場へ。」
その声は…とろけるような、優しい声で、腰が砕けてしまいそうなほど…
「私はクレイドル。揺籃龍と呼ばれている。きみの名前を教えてほしいな。」
きっと、私はここで恋に堕ちた
恋心と狂気は共に暴走する。
自らの肉体の美しさを主張し、喧嘩を始める。
今の姿は美しいとは程遠いのに!
せめてと無理やり体を動かして攻撃を深く当てないように止めたりしたもののうまくいかない。
そしてついに喧嘩の最中に爆発が起こり…その余波が揺籃龍に直撃する。
ああ…どうすれば…なんて考える暇も無いうちに祖龍が叫び、2頭の龍に岩山の裏に隠される。
「いいか!死にたくなければ顔と声を出すな!」
「というか体の一部すら見えないようにしなさい!」
その気迫にこくこくと首を縦に振る。
だが、煙が一瞬薄くなった時に見えたあの美しい青色が焼き付いて離れない。
ああ…どうしよう…
あの出来事から7回日が落ちて上った。
揺籃から隠れながら食事をとったりするのも慣れてきた、と思っていた。
…何故、目の前に揺籃が幼子の姿になった生き物が…?
じいっと青い宝石のような瞳で見つめられて頭がぼうっとしてくる…
「…どうした。小童。」
狂気が言葉を紡ぐ。
それに対しそんなことが言いたかったわけではないと慌てていると揺籃の瞳が虚ろになる。
キュリアがぼとぼとと落ちてゆく。
キュリアの毒で作られた狂気が驚き目を見張るのが筋肉の動きでわかる。
ゆらりと体を揺らしながら近づいてきた揺籃の腕が、青色を流しながら私の口にねじ込まれる。
「あ…が…」
体が跳ね、暴れ出すがどこからか現れた大きな人の手の形をした何かが私を地に縫い留める。
口内に流れ込む液体の味を理解した瞬間、私の体は抵抗しなくなってゆく。
キュリアの毒が浄化され、ボロボロの内臓は治療されていく。
昔の私が肉体を維持するために取っていた養分を遥かに上回る量の養分に体が歓喜する。
その養分も、今まで酷使されてきた肉体の治療に回され消費される。
液体があまくて、とろけて、うれしくて、きもちくて、あたまのなかが…からっぽに…あは…
「…やはり、こうなったか。」
祖龍は少し目を離した隙に消えた幼くなった揺籃のを追い、最終的に目に飛び込んできた惨状を見ながら呟く。
「食事中に襲われたか…」
青く染まったキュリアの骸が散乱する中心部には会議に来ていた時は赤かった翼を青く染め、蕩けた瞳で、恍惚とした…いわゆるお子様には見せられない顔というものをして荒い呼吸をするほぼ意識の飛んだメル・ゼナと満足気であどけない顔ですやすやと眠る幼い揺籃龍の姿だった。
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