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ロンドンの街並みが霧に包まれ、夜の闇が深まる中、透は冷たい風に吹かれながら廃工場へと歩を進めていた。彼が今向かっているのは「偉人一派」の中でも最も神秘的で危険な存在——レオナルド・ダ・ヴィンチの呪霊。
「ダ・ヴィンチ…あの天才がなぜ呪霊として現れたんだ?」
透はその疑問を抱きながらも、決意を固めた目で工場の扉を開けた。
廃工場の中は異様な静けさだった。だが、その中央には一人の男が立っていた。古めかしいローブに身を包み、彼の背後には無数の設計図や機械が浮遊している。透がその姿に目を凝らすと、その男は穏やかな笑みを浮かべた。
「ようこそ、透。私はレオナルド・ダ・ヴィンチ。君を迎えるために、ずっと待っていた。」
彼の声は静かでありながらも、どこか狂気を帯びていた。
「待っていた?俺を?」
透は警戒しながらも、ダ・ヴィンチの言葉に耳を傾けた。
「そうだ。君の才能には目を見張るものがある。しかし、君にはまだ足りないものがある。それを私が教えてやろう。」
ダ・ヴィンチの言葉と同時に、彼の背後に浮かんでいた設計図が次々と実体化し、巨大な機械兵器が透を囲んだ。
「これが…お前の術式か…」
透は目を細め、戦闘態勢に入った。
ダ・ヴィンチの術式は、彼が生涯をかけて生み出した天才的な発明を具現化し、戦闘に利用するものだった。空を飛ぶ鳥型の機械が透を取り囲み、地面からは巨大な戦車が迫ってくる。
「機械を操る呪術か…まさに天才だな。」
透は素早く身を翻し、迫り来る機械兵器の攻撃をかわしながら反撃を試みる。だが、次々と現れる機械の数に圧倒され、思うように近づけない。
「素晴らしい!だがまだまだだ!」
ダ・ヴィンチは笑みを浮かべ、さらに強力な兵器を召喚する。
「このままじゃキリがない…」
透は冷静に状況を見極め、機械の攻撃の合間を縫ってダ・ヴィンチに接近するチャンスを探る。
「天才的な発明も、所詮は物だ。物には限界がある!」
透は呪具「紫狼」を構え、一気にダ・ヴィンチの防御を突破するべく駆け出した。
「限界?ふふ、それがどうかな?」
ダ・ヴィンチは冷笑を浮かべ、手を一振りすると、透の足元から巨大な機械の手が飛び出し、彼を掴もうとする。
「しまった!」
透はとっさに体をひねり、間一髪でそれをかわしたが、その隙を狙ってダ・ヴィンチの攻撃が迫る。
「天才が何だ!お前の発明がいくら優れていても、俺の力は信念の力だ!」
透は自分の術式を最大限に発揮し、周囲の機械を次々と破壊していく。
「信念か…だが、私もまた信念を持っている。私の発明が世界を変える、その未来を!」
ダ・ヴィンチはさらに強力な術式を展開し、機械の巨人を具現化する。
透は息を整え、最後の一撃に備えた。「これで終わりだ、ダ・ヴィンチ!」
透は「紫狼」を高く掲げ、全力でダ・ヴィンチの巨人に向けて突撃する。
激しい戦いの末、透はダ・ヴィンチの巨人を打ち破り、ダ・ヴィンチ自身に致命的な一撃を与える。
「まさか…私が…敗れるとは…」
ダ・ヴィンチはその場に崩れ落ち、静かに微笑みながら最後の言葉を呟いた。
「君もまた、天才だ。だが…覚えておけ、偉人一派は私だけではない…次に会うときは…もっと強い敵が…」
透はその言葉を胸に刻み、静かに立ち上がった。
「次が来るなら、また倒すだけだ。」