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もう折り返しです。
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深夜。探索者たちはまた夢を見ていた。
切り立った巨大な漆黒の壁を登っている。
足首を掴まれる。
下を見下ろすと、そこには腐った肉がへばりついた白骨の探索者が、君を奈落の底へ引きずり降ろそうとくびりついていた。
『堕ちろ、堕ちろ。』『この山を最初に登るのは、オレだ。』
白骨が喋る。その声に、そして白骨がまとってるウェアに、心当たりがある。
直央は過去山で失った友人、他二人はコージーが足を引っ張っているものの正体だと気づく。
引きずり降ろされまいと、必死に登る自分の手が、見れば腐り始めていた。
肉が剥がれ落ち、白骨が除く。掴んでいた岩肌が骨を砕き、探索者たちは谷底へと落下していく。
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そこで目が覚めた。周りを見れば他メンバーも、またもや揃って同じような夢を見ていたらしい。
黒「な、何かコージーが足引っ張ってました…」
直央「君、仮にも置いていった仲間に対してなんてこと言ってんだ。」
黒「あ、いやいや違う違う!物理的に足を引っ張られたんです…!」
K2「私も昔の友人が足を掴んでいる夢を見たよ。まあ山だし、そういうこともあるか。」
凜々蝶「なんかすごい山で片付けますね。」
K2「ま、まあ山はこういうことも多いんだよな。」
直央「皆同じ状況で追い詰められてるから、同じ夢を見ることもあるのかもな。」
黒「まあ山ですから。」
直央「梓さんは?」
梓「私もK2と同じで昔亡くなった友人の夢だったわ。」
直央「じゃあコージー派と友人派で別れていると…」
直央「こっち(K2、梓側)で良かったぁ…」
黒「凜々蝶さん、あなたはコージー派ですよ。」
直央「君たち心の中でコージーのことを既に死んだものとして考えてるでしょ。」
凜々蝶「違いますよ!?」
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この先、人類生存限界であるデスゾーンへ突入する。
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テントの外にて山頂を見据えながら、梓が口を開く。
梓「ここからは、もう長期の停滞ができないわ。8000mを超えると死の領域に突入する。」
梓「眠っているだけで体力を消耗していく、人が生きていけない領域。」
梓「しかも、天候も今まで以上に不安定になるわ。出発のタイミングの見極めには慎重を要するわよ。」
ねりあめ「ちなみにこの標高は、靴紐を結ぶだけで息が上がるらしいです。」
直央「タ、タバコが…」
凜々蝶「タバコなんてもうもってのほか!」
梓「…揃って同じ夢……それも酷い悪夢を見た。」
梓「医学的に見て、既に低酸素による幻覚が発生してる可能性もあるわ。」
梓「撤退の判断をするなら、ここかもしれないわよ。」
K2「ゲホッゲホッ…天候は、悪くない。食糧も体力も、まだ余裕がある。引き返す理由は、ないさ。」
直央「あれ、K2天候は悪くないのか?」
凜々蝶「あ、今日の天候はいいんですね!」
外を見る。
直央「あ、K2天候はめっちゃ悪いぞ!」
ここに置いた装備があるため、ここならまだ置いていった食料を食べることが出来る。
凜々蝶「天候も悪いですし、今日はキャンプしますか。」
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12日目(残り食料14日分)
6人はここに置いて言った食料食べて、キャンプをした。
そして天候は…
凜々蝶「はい、猛吹雪です。」
黒「ま、まあまだ置いていく食料は5日分ありますから…」
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13日目(残り食料14日分)
次の日。天候は…
猛吹雪。
直央「も、もうしばらく待とうか。」
ここから2日間猛吹雪が続き…
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16日目(残り食料14日分)
天候は…
強風だ。
凜々蝶「お、行ける行ける!」
直央「ここで行くしかない…!」
ではK2はここで立ち上がり、言います。
K2「天候は悪くない!!!」
ここは漆黒のナビゲート(ロール)。
梓、ナビゲート失敗。
ブロッケン現象が起きる。
特に誰も影響は受けなかった。
梓「あ、ごめん間違えたみたいだわ…。」
次は黒ですが…
黒「そろそろ行っておきますかあ!」
凜々蝶「え、任せないの?」
ナビゲート失敗。
凜々蝶「え、何故自分で!?」
直央「確定アクシデント男来た」
急に高度を上げ、高度順応が十分でないまま進んでしまったようだ。
凜々蝶、黒、K2が高山病に。
凜々蝶「こ、このルート、良くない…」
直央「登り切ってから一度手当する必要がありそうだな…。」
次は直央。
ナビゲート失敗。
直央「こ、こっちか、?」
凜々蝶「そっちでいいんですかぁ?」
ブロッケン現象が起きる。
直央「お、まーたブロッケン現象」
凜々蝶「せーふ、!」
黒「実質ノーアクシデント」
K2のナビゲート。
K2「こ、こっちだ。」
直央「大分調子は悪そうだけど、ナビゲート先はあってそうだな。」
黒「さ、さすがだ」
凜々蝶のナビゲート。
ナビゲート失敗。
凜々蝶「こっちこっち!」
黒「そっちじゃないですよ!」
何か音が聞こえる。
凜々蝶と黒は聞こえなかった。
そして5人はついに標高9000mに到着します。
そして梓が3人に高山病を手当してくれます。
梓「大丈夫?」
黒「あ、ありがとうございます」
直生はこの間も煙草を吸う。
凜々蝶「あの人、この高度で元気だな…」
K2が梓に治癒を受けている最中、血痰を吐き、崩れ落ちる。
梓「け、K2!?」
凜々蝶「大丈夫ですか!?」
直央「タ、タバコ吸う?!」
黒「タバコは1番まずいです!」
肺水腫と脳浮腫を併発しているのか、絶え間なく咳をし、息はヒューヒューとか細く、時折血を吐き、意識は朦朧としている。
梓「まずいわね…重度の高山病を発症している。これ以上は命に関わるわ。」
K2はうなされるよう、虚空に向かって呟く。
K2「コージー…、お前の言う通りだ。」
K2「私は、第一次隊が失敗したと聞いた時、しめたと思ってしまった。」
K2「バチが当たったんだ…許してくれ。」
凜々蝶「け、K2さん…」
その様子を見た梓が話す。
梓「私、K2を担いで7000m以下に降りるわ。」
梓「このままだとK2が遅からず死んでしまう。」
凜々蝶「え、てことはこのおんぶにだっこ猫川を俺たちで連れて行けってことですか?」
直央「ひ、必要な人から離脱していく…」
黒「ま、まってください!」
黒「恐らくですがここから先は登攀が必要なはずです。」
黒「登攀は得意なので!」
凜々蝶「不安だ…」
梓「こうなった以上、あなた達も一緒に引き返すのもありだとは思う。」
梓「さっき落ち着いたとはいえ、緑井くんと猫川さんも高山病にかかっていたわけだし…」
直央「でも流石にここまで登った以上、俺はもう引けない。」
凜々蝶「俺も当然、登りますよ。」
黒「俺も引き返すつもりはありません!」
梓「…本当に、山頂を目指すのね。」
梓「こっちは、K2の応急手当をするわ。でもこの症状は降ろさないと完全な治癒は無理。」
梓「待ってられる時間の猶予はあまりないわ。天候が落ち着いて、K2の体調が小康状態になり次第、私は彼を担ぎ下ろす。」
梓「無線で状況報告を取り合いましょう。」
直央「…でもK2、君はもういいの?」
直央「キツいことを言うような感じだけど、K2自身が言ってたこと。」
直央「今後この山を初登頂出来るチャンスは、ここで降りたらもう訪れることは無いぞ。」
直央「俺、失敗する気はさらさらないし。」
そういうと、K2が顔を上げます。
K2「どうやら、私はまだ君のことを少しみくびっていたようだ。」
K2「君は、本物の登山家だ…!!!」
黒「あれ、俺達は?」
K2「君”たち”は、本物の登山家だ…!!!」
凜々蝶「いや猫川さんは違います」
梓「ね、猫川さん。あなたには、何かあるはずだわ…!!!」
直生(何かあるはずだわ…?w)
梓「登山技能が全然ないのに、ここまで来られてるんだからきっと山の神に愛されてるのよ!」
凜々蝶「梓さんと猫川さん、交代しません?」
梓「必ず、登頂してほしい……!!!」
ということで梓はK2を担いで準備を始めます。
準備が整い、梓は一度だけこちらを振り返り、こくりと頷いた後、下山していきました。