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街を去ったあの人と、

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街を去ったあの人と、

2 - 安心な僕らは旅に出ようぜ

♥

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2024年10月05日

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初めての曲パロくるり、ばらの花




安心な僕らは旅に出ようぜ







スマホのアラームが喧しく鳴いて、

体を起こしてみれば、窓の外は雨。

色々予定があった気がするが、雨で一気にやる気がなくなった。

なんとなく、頭も痛む。

でも、少しほっとする。予定なんか任せてしまおう。

冷蔵庫にあったペットボトルのジンジャーエール。

ぷしゅ、と間抜けな音を立てキャップを緩めて、1口飲む。

久しぶりに、口の中に辛味とあまみが広がった。

炭酸の抜けたジンジャーエールは、自身の気を落ち着けるのに一役買ったらしい。

冷めた感情は笑い飛ばしてしまおう。





人に花を送るロボットが、感情がないなんてことがあるだろうか。

感謝を込めた、愛のばらを掲げる。

もう随分昔のことのようだけど、覚えているだろうか。

彼の言葉に相づちを打ち、ともに戦い転んで、まるで家族だ。

彼は弱さを見せなかった。探しても上手く隠されてしまう。

彼は街を去ると言う。

他の皆は、泣いたり、笑ったり。思いを伝えられる。ならロボットは?

お互いに、弱虫だった。尊重し、高め合い、背を預けた。だから踏み込めなかった。

朝になり、昼になり、彼は去る。

暗くなった街をひた走る。見ていて欲しかった。一緒にいたかった。





もう会うことは叶わないのだろうか。

彼のヘリを見て、ああなりたいと思って、 練習して、近づきたくて。

憧れた人が波の向こうに消えていく。

笑顔で見送ると決めていた。

涙は流さない。

でも、胸だけが、ずきずきと痛んだ。

玄関口の花を見て思い出す。白くて、しゃんと立っていて、彼のようだ。

ペットボトルのジンジャーエールが冷蔵庫に入っていた。

喉を潤したくて、1本手に取り蓋を開ける。

ぷしゅりと小気味いい音を立て、辛味が舌の上に伸びていく。

こんなに辛かったっけ。

こんなに、辛いなんて。

涙がぼろぼろこぼれ落ちた。

もしまたもう一度会えるなら、

絶対笑って会うんだと決めた。








しぶにもあげたやつです。

くるりはいいですよ皆さん聞いてくれ。

街を去ったあの人と、

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