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部長と私の秘め事

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部長と私の秘め事

302 - 第302話 不意打ちで会った彼の親友

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2025年02月10日

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「あら、気を遣わなくていいのに。みんな張り切ってイチオシの手土産を持ってきているから、冷蔵庫がパンパンなの」


カウンターの中にいる女性――小牧さんは親しみやすい笑みを浮かべる。


彼女は清潔感のある美人アナウンサー風の女性で、着物を着ているからか、そこはかとない色気がある。


だから以前にこの店から出てきた尊さんを見た社員が、『美人女将としっぽりやってる』なんて言っていたんだろう。


「朱里さん? こんにちは。初めまして」


奥から出てきたワンピース姿の女性は、小牧さんと似ているので、きっと弥生さんだ。


彼女は母と姉を見てプンプンと怒ってみせる。


「皆、自己紹介しないと駄目じゃない。ただでさえ人数が多いんだから……」


奥には『HAYAMI』の社長さんや、副社長夫婦もいて、こぢんまりとしたお店の中はごったがえしている。


……と、事前に聞いていない人物がいて、私は「ん?」と目を見開いた。


なんか見た事のある、やけに美形な男性がお店の奥に座り、枝豆をおつまみに日本酒を飲んでいる。


(どこかで見た事が……)


そう思っていた時、隣で尊さんが声を上げた。


「涼! なんでいるんだよ!」


「あっ!」


名前が出てやっと気づいたけど、その男性は以前に尊さんが写真を見せてくれた、三日月涼さんだった。


「えええ……?」


速水家の皆さんが来るのは分かっていたけれど、尊さんの親友とはいえ、どうして涼さんがここにいるのか分からない。


涼さんはこちらを見てニヤリと笑い、ヒラヒラと手を振る。


……てか、うん。格好いい。


彼は目と髪の色素が薄く、キリッとした眉に二重の幅が広い大きな目をしている。


鼻筋もスッとしていて、唇の形もいい。


立ちあがると身長が高くて、尊さんに負けないぐらいある。


彼は鮮やかなターコイズブルーのシャツに黒く細いネクタイを締め、黒い細身のパンツを穿いている。


シャツはなかなか難しい色だと思うけれど、サラッと着こなしている。


多分、顔立ちが派手なほうだから、強めの色にも負けないんだと思う。


モノトーンを着ても似合うだろうし、ゆるダボなコーデとか、ビシッと黒シャツのスーツでも、なんでも似合いそうだ。


髪型はソフトツーブロックで、仕事の時は外しているんだろうけど、両耳には小さなリングのピアスをしている。


ポーッと彼を見て色んな事を考えていると、涼さんが私を覗き込んで微笑んだ。


「空中を凝視してる猫みたい」


一言目にそんな事を言われ、私はちょっとびっくりして目を見開く。


「お、警戒した」


ちょっと喜んだ涼さんは、ネクタイの端を持って私の前でピラピラと振ってみせた。


「猫じゃないです!」


「ははは!」


機嫌良さそうに笑った涼さんは、ポケットに手を入れて「あげる」と言ってきた。


とっさに「どうも」と手を出すと、ポンとカリカリ小梅がのせられた。


「???」


目を丸くしていると、尊さんが溜め息をついた。


「おい、変人。だからどうしてここにいる」


尊さんが溜め息をついて尋ねると、小牧さんが笑顔で言った。


「私が呼んだの。涼くんもよく来てくれてるし、友達だからいいじゃない」


「小牧ちゃん……」


尊さんはガックリと項垂れ、溜め息をつく。


その時、ニコニコした裕真さんが歩み寄ってきて奥の席を示した。


「いつまでも立ち話はなんだから、座りなさい」


そう言われ、私たちは奥の四人掛けのテーブル席に座った。


向かいには大地さんと弥生さんが座り、雅也さん、裕真さん、ちえりさんはもう一つのテーブル、涼さんと貴弘さんはカウンター席、そのお嫁さんの菊花さんは小牧さんを手伝っていた。


お二人の三人のお子さんは、今日はシッターさんに任せてきたそうだ。


「朱里さん、飲みたい物があったら言ってね。大抵のカクテルなら作れるわ。趣味が高じて、家にもバーカウンターがあるのよ」


陽気に言った小牧さんの後ろには、色んな酒瓶が並んでいる。


勿論、日本酒の酒瓶も沢山あるけれど、「楽しく料理を食べてもらうために」という信条で、女性客も利用しやすいように色んな飲み物を出しているそうだ。


「はい、あとでいただきます。最初はビールで!」


「分かったわ」


カウンターの中で、小牧さんと菊花さんがビールサーバーからグラスにビールを注ぐ。


全員にビールが行き渡ったあと、尊さんが立ちあがり、私も立つ。

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コメント

1

ユーザー

色気のある美人女将♡店内にはお身内の美男美女がひしめき合っているのだろう😍 しかも涼さんもいらっしゃるとは❣️

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