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「はぁ…はぁ…うぅ…」
目が覚めるとまた病院のベッドの上だった。
薬の影響のせいか頭痛がする。
するとコンコンとノックする音が聞こえてきた。
「黒岩竜一くーん。入るわよー」
医者のお姉さんが部屋へ入ってきた。
「どう?具合の方は…まだ安静にしとかないといけないからね」
黒岩竜一はキラードエヴァンスからの拷問のせいで精神的にも身体的にも限界を達していた。
思い出すだけで具合が悪くなる
見たことも聞いたこともない拷問機器や言葉をずっと語りかけてきたのだ。
竜一の目はまるで死体のように死んでいた。
「先生…学校の皆んなはどうなってる…白井拓馬や高橋れな達は…」
黒岩竜一の問いに先生は俯き答えようとはしなかった。
「みんな…」
そして、赤谷蓮は夢から覚める
目からは涙が溢れ落ち、
自分の手をじっと眺める
「俺は力が使えなくなってしまったのか…」
起き上がり窓の外を見てみると、
空にたくさんの鳥が群れをなして移動している。
「死ねっ」
鳥の一匹に呪いの言葉を使うも、全くの無反応。
赤谷蓮は完全に力を失ってしまったのだ。
「これじゃ…誰も守ることなんて…」
もう諦めるしかないのだろうか。
赤谷蓮は不安と焦りで精神がおかしくなりそうだ。
「もう…だめなのか…」
うつむいていると、いきなり家のチャイムが鳴った。
赤谷蓮は自分の部屋から出て、玄関の扉を開ける。
「生きてたか!よかった」
家の前で待っていたのは、
真月和人「まつき かずと」と、
杉原大斗「すぎはら たいと」と、
笠原すず「かさはら すず」の3人だった。
すると真月和人が赤谷蓮の顔を見て、何やら驚いた顔をしている。
「赤谷蓮…お前…」
他3人は真月和人が何を話すのか気になったが、黙り込んでしまい、それ以上は話さなかった。
赤谷蓮は他3人を家に招き、リビングでゆっくりするように言う。
「お邪魔します…」
他3人はリビングで腰を下ろし寛ぐ。
赤谷蓮もソファに座り、真剣な顔で今回の夢のことを話しだした。
「橘美香が…死んだ…」
赤谷蓮の発言にみんなも下を向き、ショックを受ける。
「橘…」
笠原すずも目から涙がこぼれ落ちる。
「みんな…いやだよ…」
この夢はみんな死ぬまで止まらないのだろうか。
俺達だけでは止めることはできないのだろうか。
もう11人も死んでしまった。
一体誰が何の為にこんなことを始めたのか。
「たぶん…あいつしかいない…」
赤谷蓮が口にしたのはキラードエヴァンスのことだ。
やつを殺せば、きっとこの夢はおわる。
「キラードエヴァンス…あの黒いローブの?」
杉原大斗はいまいちわかっていないので質問した。
「あいつのせいだ…あいつさえ倒せば…」
するといきなり玄関が開く音がした。
「ガチャッ」
ついに両親が帰ってきたのかと思い、赤谷蓮は玄関へ向かうと、そこにいたのは黒岩竜一の母親、黒岩成美だった。
「ど、どうしたんですか!!」
赤谷蓮が黒岩成美をソファに移動させる。
とてもぼろぼろになっている。
ずっと走ってきたのだろうか。すごく呼吸が荒い。
一体何が起きたのだろうか。
「ごめ…ん。蓮君…父さんと…母さんは…」
みんなはその後の発言を信じることができなかった。
………
赤谷蓮はその後の発言はよく聴こえなかった。
というより、聞きたくなかった。
どうしてこうなってしまったのだろうか。
「殺す…殺す…殺す…殺す…俺の手で…あいつを…」
赤谷蓮は憎しみの感情を抑えきれず目からは殺意が芽生えた。
「落ち着け!赤谷蓮」
真月和人が赤谷蓮を落ち着かせようとするが、
全く聞く耳を持たない。
赤谷蓮はそのまま家を出て行ってしまった。
「なんて殺意だ…」
真月和人の発言に対し、杉原大斗と笠原すずは疑問に思った。
「は?何おまえ相手の感情でもわかるの?」
杉原大斗の質問に真月和人は少し動揺したが答えようとしなかった。
そして今日は特に何も起こることはなく夜になった。
赤谷蓮は結局家に戻ってくることはなかった。
その頃…
「さぁ…今度こそ馬鹿な親の元へ送ってあげますよ…赤谷蓮君…」
キラードエヴァンスは自身の刀についた血を拭きあげ、最後の戦いへと足を踏み入れる。