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――愛美がフォトスタジオに到着し、撮影が始まる前に、純也さんは彼女の目が少し赤くなっていることに気がついた。
「……愛美ちゃん、泣いてた?」
「うん……。お父さんとお母さんにも、今日のわたしの晴れ姿を見てほしかったなぁと思って。そしたらちょっと泣いちゃった。でももう落ち着いたから大丈夫」
「そっか。愛美ちゃん、君はやっぱり優しい子だね。天国にいらっしゃるご両親も、今ごろきっとお喜びのはずだよ」
本当は気づかないふりをしてほしかったけれど、気づいてもあえて深掘りはしてこないでいてくれた。やっぱり、彼は愛美が好きになったとおりの人だった。
「うん、そうだね。純也さん、ありがと」
――二人はその後、仲よくウェディングフォトを撮影してもらった。何枚も、何パターンも。そのたびに二人は微笑み合った。
「――撮影お疲れさまでございました。いよいよお式が始まりますので。新婦様はお先にチャペルへお越し下さい。係の者が案内致します。新婦様をエスコートして下さる方は……」
一般的に、花嫁のエスコート役は父親か母親、もしくはそれに近い親族がするものだけれど。残念ながら、施設で育った愛美にはそのどれに該当する人もいない。少なくとも血縁者には。
どうなるんだろう、と愛美が心配していると……。
「それなら私が致しましょう」
「……、久留島さん!」
スタジオの扉が開き、純也さんの個人秘書である久留島栄吉さんが名乗りを上げてくれた。
彼は表向き、純也さんに代わって愛美の保護者代わりをしてくれていた人で、言ってみれば愛美の父親代わりの人物である。エスコート役なら彼以上の適任者はいないだろう。
「私は愛美様の事実上の父親代わりでございますから。構いませんね、純也様?」
「ああ、もちろんだよ。ありがとう、久留島さん。じゃあ、彼女のエスコートをしっかり頼む」
「はい、お任せ下さいませ」
彼に全幅の信頼を寄せている純也さんも異存はないらしく、愛美のエスコート役は久留島さんに任せるということがすんなり決まった。
「それじゃ久留島さん、よろしくお願いします。でもまさか、あなたに結婚式で父親役をしてもらう日が来るなんて思いませんでした」
「ええ、私もでございますよ。ですが、感無量でございます」
久留島さんも嬉しそうだ。自分が息子のように思ってきた純也さんと、娘(もしくは孫?)のように思ってきた愛美がこうして夫婦になれたのだから。
「――では新婦の愛美様、久留島様。チャペルへ参りましょうね」
「はい……!」
純也さんが先にチャペルへ行ってから、ブーケを抱えた愛美は久留島さんと腕を組んでフォトスタジオを出て、チャペルへ向かう廊下を進んでいった。
コメント
1件
もう、冒頭から泣きそうになりました……。純也さんが愛美ちゃんの目の赤さに気づいて「泣いてた?」と優しく聞くところ、そして深掘りせずにそっとしておくその距離感、本当に素敵でした。そして何より、久留島さんが「私が致しましょう」と名乗り出て父親代わりを買って出る場面、胸が熱くなりました。施設育ちの愛美ちゃんにとって、血縁じゃなくても「父親役」を引き受けてくれる人がいること、その温かさにじんわりきました。素晴らしいエピソードをありがとうございます🌷
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からむーちょ😝💥💚
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