12月21日午後10時30分
「ルイ?準備はいい?」
『いつでも大丈夫だよ〜』
全く今から人殺すのになんて呑気な…インカムで話すルイはまっっったくもって、緊張しておらずさっき、言ったことも忘れてんじゃないの?
『ルリ。』
「ん?何?ルイ」
『行ってくる。』
「…」
「死に急がないでよ。」
『死なないよ。さっき約束したじゃん!』
「はいはい。じゃあ私はあんたを死なせないように死力を尽くすよ。」
『…ルリこそ死なないでよね。』
「死なないよ死ぬわけないじゃん。ルイ置いてったら地球破壊しそうだし。」
『さすがにしないよ!?』
なんて軽口叩きながらも、私の心は鉛のように重い。ルイをもし死なせたら…それこそ私が地球を破壊しそうね。でも、やらなくちゃ。
「わかったから。じゃあ行くよルイ、準備はいい?」
『いつでもOK』
「じゃ、行くよ?」
『うん。』
緊迫感が背筋に走る。口の中がカラカラだ。震える手でパソコンを操作する。
「まず入口の横に小さい計算機みたいなのがあるでしょ?」
『うん。』
「それに今から私が言う7桁の暗証番号入力して」
『おけ』
「入力し終わった?」
『うん。』
「じゃあ入って。入ったらすぐにエレベーターがあると思うけど、絶対に乗らないで。」
『なんで?』
「中に警備員が待ち構えてる。」
『…蹴散らせばいいじゃん。』
「そうなったら騒ぎになってルイが動きにくくなるだけだよ。慌てず私の指示にしたがって。」
『…はぁーい』
「もー不貞腐れないで。次行くよ。横に階段があるでしょ?そこには、監視カメラがある。だけどハッキングしといたから行ける。で、そこから、10階まで一気に駆け上がって。」
『おっけー』
「途中で組織の人間に会った時は気絶させて。」
『殺しちゃダメなの?』
「手間がかかるし、どうせ最後は建物ごと爆発させるんだから、今しなくていいわ。」
『りょーかいっ!』
ルイが一気に階段を駆け上がる。相変わらず、スピードが早い。ハッキングしたカメラでルイの様子を見る。今のところ人影はなさそう。
『駆け上がったよ。』
「OK。じゃ目の前に扉があるでしょ?その扉の中に入って。」
『入ったけど、人いるじゃん。』
『おい、ガキ。ここがどこだかわかってんのか?ここはお前みたいな小便くせぇガキが来るようなとこじゃねーんだよ。とっとと、失せろ。さもなくば臓器を売り飛ばしてやる。』
『…ルリ?殺っていい?』
「ダメ、睡眠弾使って。 」
『…ちぇっ』
爆発音がした後、ドサッと倒れる音がする。
『…殺した方が絶対いいのに』
「文句言わない。こっからまた階段で駆け上がって、20階まで行って 」
『ん。』
…なにかおかしい。なんでこんなにフロアに人がいないの?…嫌な予感がする。
『ルリ?どうかした? 』
「いえなんでもないわ。」
『…ルリ?』
「何?」
『急がないで。』
「!…そうね。ごめんなさい。 」
『謝らないで』
…ほんとルイには適わないわね、どんだけ私のことを見てんのよ。
すーはー
深呼吸をする。インカムでルイは喋らなくなってしまった。気遣ってくれている。そうよ。ルリ。今までだってやってのけたじゃない。ここで何もルイに言わないほうが悪い方向に行く気がする。覚悟を決めてルイに伝える。
「…ルイ、なんだか変だわ。」
『変?何が?』
「私たちが受けた命令は、この組織をぶっ潰すこと。そこまではいい?」
『うん。』
「なのにここのビルには、かろうじて警備員や、下っ端はいるけど、幹部たちはいない。」
『上の階にいるんじゃないの?』
「…いいえ。いないわ。」
『どうして?』
思わず声が震える。でもそれでも伝えなくちゃ。
「だって上の階は、屋上よ。」
『…え?…で、でも!僕らのボスから送られてきた、資料では…』
「…そうよ。間違ってたの。」
『そんな…』
ルイが悲しみと悔しさをごちゃ混ぜになったかのような声で言葉を放った瞬間
バァン!!!!!
と何かが破壊されるような音がした。
『クソッ!』
「ルイ!?何が!?」
『あーあーバレちまったならしょうがない。』
インカムごしに聞こえてくる。男の声。その声には聞き覚えがあった。
『そんな…どうして?どうしてあなたがここに?』
あーあ。結局私たちに居場所はないんだね。このビルにいたのは、私たちのボスの側近である。ガオナだった。
コメント
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ありがとうございます😭
しばらく、投稿できてなくて、ごめんなさい!!ちょっとスマホにトラブルが発生してまして、テラーノベルを一時的に消したのですが、トラブルが解決致しましたので、今日からやっと投稿できました!!お待たせしてしまった方本当にすみません!投稿頻度は高くありませんが、これからも頑張って書いていきたいです!いつも読んでいただき本当にありがとうございます♪