クリスマスプレゼント

『どうしてあなたがここに！？』

ルイの動揺した声が聞こえる。それもそうだ今まで散々修行してもらったいわゆる師匠という存在が敵組織の本拠地にいたんだから。

「ルイ？ルイ？落ち着いて。どんな時も冷静でいて？」

はぁはぁとルイの荒い呼吸が聞こえる。頑張って自分を落ち着かせている。

『…ごめん。ルリ。』

「いいのよ。気にしないで。誰だって動揺するわよ。こんなことが起きたら。」

『そっか…ありがとう。落ち着かせてくれて。』

「どういたしまして。…それよりも。」

『うん。』

『おいおい話は済んだか？たくお前らは話が毎度毎度なげーんだよ。まぁそのおかげで、さっきの攻撃が回避できたんだがな。』

『…ガオナどうしてあなたがここにいる？もしかして、組織を抜けていたのか？』

『まぁさか俺が抜けるとでも？それこそボスに殺されちまう。今日はなお前らを始末しに来たんだよ。』

『「！」』

…予感はしていた。最近組織が私たちの扱い方が丁寧になっていた。きっと油断させる為だったのだろう。どうしてかは…まぁ大体検討はつく。でも、今はそんなことを考えるよりも…

「ルイ、聞いて。」

『何？』

「今、ガオナを説得するよりも、もう敵とみなして蹴散らした方がいいわ。」

『っ！で、でもっ…』

「ルイ？約束 したでしょ？死んじゃダメって。それにガオナが言ったでしょ？私”たち”を始末しにきたって。ルイだけじゃない、私も始末対象なのよ。」

『っ…！』

「ルイ私に死んでほしくないんでしょ？だったらガオナをこっちが始末しなきゃ。」

卑怯なこと言ってるのはわかってる。でも、こうでもしないと優しいルイは、ガオナを始末できない。この件でルイに嫌われてもいい。とにかく私はルイに生きてて欲しい。

『…ルリは…強いね。』

「何が？」

今の言葉のどこに強みがあったのだろう？強さなんかなくただただ卑怯な言動だったけど。

『強いよ。僕ならそんなこと言えない。そんなこと瞬時に判断できない。きっと君が今何も言わなかったら、僕も君もきっと殺されているだろね。…でも、もう僕はさっきの僕じゃない。』

「…ルイ…」

『話は終わったか？』

ガオナの声とかカチャリという金属音がする。ルイ避けて！と言おうとした瞬間、ルイはガオナが手にしていた銃を足で蹴り落とした。ガオナは状況が把握できないと言った表情だった。

『ルリを殺すつもりならもういいや。仲間だろうがなんだろうがルリを傷つけるものなら僕が許さない。』

ルイの瞳が猛獣のような瞳に変わった。ルイの本気モードの合図だ。