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Elu
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今日はいつもより胸の鼓動が速い。
空は晴れる気配はなく、重苦しい雲が、何かの前触れのように空を塞いでいた。
帰りのホームルームが終わった彼らは誰よりも早く昇降口に集まった。
花「みんな集まったね」
無「あぁ」
淀「じゃあ向かうぞ。”あの校長のところに”」
彼らは早足で羅刹高校に向かった。
羅刹高校は今日の授業が半日しかなく、生徒はいなかった。
並「静かですね」
猫「まぁ、人いねぇからな」
朽「やっぱ校長だから校長室にいるよな?」
百「その可能性が高いだろうな」
皇「じゃあ急いd─────」
校長「あれ?君達はこの間の・・・」
花「!!」
無「はい。四季の友人です」
校長「あぁ、やっぱり?それでどうしたの?」
印「話を聞きに来たんです!ゲホッ」
校長「話?」
花「四季君の中学時代について!」
校長「!! 分かった。ここじゃあれだし校長室で話そっか」
微妙な緊張感が流れる中、校長室に招かれた。
全員が各々の位置に座ると、話を促すように校長に視線をやった。
それを感じたのか、校長もすぐに話を始めた。
校長「四季君がバンドをやっていたことはこの前会った時に話したから分かるよね?」
無「あぁ」
校長「それに加え、四季君は作詞・作曲もしてたんだよ」
花「作詞・作曲⁉︎ 四季君すご!」
校長「うん、本当にすごかったよ。その当時は定期的にライブもしてたからね」
印「忙しそうだな!ゲホッ」
校長「まぁ、学校内だけだったけどね」
百「すげぇな」
校長「四季君以外のメンバーは、ギターの旋律君、ドラムの桜介君、キーボードの月詠君。この四人だったんだよ」
猫「案外少ないんですね」
校長「そうだね、今思えば少人数だったのかも。でもライブの時は何十人もいるのかと思うくらい、迫力があったんだよ☺️」
朽「え〜、聞いてみた〜い。その旋律とかいう奴ら、今はどこにいるんすか?」
その一言に 校長に悲しげな表情を浮かんだ。
朽「えっあ、聞かない方が良かった感じっすか?汗」
校長「いや、そんなことない。むしろこの話をちゃんと君達にしなくちゃいけない・・・」
皇「・・・」
その場の空気が、糸を張ったようにぴんと張る。
校長「四季君以外の三人は─────」
全員が思わず息を止める。
校長「中学二年生の二学期に”亡くなっている”んだ」
その場にいた全員が殴られたような衝撃を受けた。
花「・・・え、・・・」
花魁坂の掠れた声が部屋に響いた。
校長「桜介君と月詠君は四季君が車に轢かれそうなところを庇って亡くなった」
四[旋律も風邪とか引くんだなー!]
月詠[まぁ、旋律も人間だからね]
桜介[馬鹿は風邪ひかないのにな]
四[げっ!雨降ってきた、]
月詠[少し急ごうか]
灰色の空から、細い雨糸が静かに降り注ぐ。
俺達は旋律のお見舞いに向かっている足を速めた。
その時は思ってもいなかった。
居眠り運転の車が自分達の方に向かってくるなんて──────
四季は気付いていなかった。
だが桜介と月詠は気付いた。
考えるより先に体が動く。
桜介と月詠は俺の肩をつかみ、包み込んだ。
世界が回転し、アスファルトに叩きつけられる音だけが耳に残った。
俺を庇った桜介、月詠はトラックにはねられ、道路に打ちつけられ意識を失っていた。
俺は地面に倒れたまま、耳鳴りと雨が地面をうつ音だけがいつまでも響いていた。
かろうじて開いている目には頭から血を流している二人が見えた。
二人の髪が・・・
体が・・・
雨に降られてどんどん濡れていく・・・
二人の元に行こうと自分の体を動かそうとするが、体が言うことを聞いてくれない。
人影が慌ただしく駆け寄ってくる。
誰かが俺を呼んでいるが反応はできなかった。
その声もしだいに遠くなっていき、俺はいつの間にか意識を失っていた。
次に俺が目を覚ました時にはもう、二人は亡くなっていた。
医者に聞いた話だと二人は俺を庇って車に轢かれた時の衝撃で激しい多発外傷を起こし、亡くなったそうだ。
旋律も風邪を引いていて辛い中、病院に駆けつけてくれた。
桜介と月詠が亡くなったことを医者から伝えられると、いつも明るい旋律も目から光を無くしその場から動けなくなっていた。
旋律が俺のところに来る頃には俺も目を覚ましていた。
旋律は優しい。
二人が死んだのは俺のせいなのに、俺を責めたりしなかった。
だからこそ・・・
罪悪感という名の重石が、 息をすることさえ苦しくさせた。
花「・・・」
誰も口を開けないまま、重苦しい静寂だけが広がる。
校長「こんな話しちゃってごめんね・・・」
皇「いや・・・俺らが四季の過去を教えてくれって言ったんだ。あんたは何も悪くねぇよ・・・」
校長「うん・・・ありがとう」
猫「もう一人の旋律って奴は何で死んだんだよ」
校長「旋律君は・・・」
声にしようとした言葉は、喉の奥で消えた。
やっとの思いで出た声も掠れていた。
校長「自殺・・・だよ」
花「!!」
朽「っ・・・!」
校長「二人の死が相当効いたんだと思う。四季君以外の三人は小学校からの仲だったらしいから・・・」
その後、数日間検査入院をし、四季は学校に通えるほどに回復した。
だが、回復したのは体だけで
四季の心は壊れたままだった。
学校では旋律と四季の間に会話はなかった。
二人共ろくに食事を取らず、睡眠も十分に取れていなかった。
そんな生活をしていれば必ず限界は来る。
先に限界を迎えたのは旋律だった。
その日は土砂降りの雨だった。
雨粒が窓を激しく叩き、静寂を引き裂いていた。
そんな中、旋律は意識が朦朧としながら屋上に来ていた。
屋上の柵を越えて立っている。
旋律[お前ら今、そっちに行くぜ・・・]
黒い雲に覆われている空を見ながら呟いた。
旋律は後ろを振り返り、掠れた声で言う。
旋律[四季、ごめんな・・・]
次の瞬間、旋律は力強く地面を蹴った。
宙に浮かんだ体は速度を上げて落下した。
授業中だった生徒達は窓を叩きつける雨音よりも大きく響いた鈍い音に一斉に窓の外を見た。
そこには血まみれで倒れている旋律の姿があった。
教師はすぐに救急車を呼んだ。
四季は旋律の元に走って向かった。
雨は倒れている彼を濡らし、体温を奪っていく
俺は手を伸ばして、冷えきっていて人の体温を無くした手に触れた。
その瞬間、俺の膝は雨で濡れている地面に力なくついた。
雨粒がアスファルトに砕けるたび、心のどこかが音を立てて崩れていく気がした。
彼の名を何度も呼ぶ。
返事はない。
ただ雨だけが、残酷なほど平等に降り続ける。
四季は旋律がもう手遅れだと悟っていた。
四[ごめん・・・ごめん・・・俺のせいで・・・]
掠れた声でごめんと繰り返す。
四季の冷たい涙は雨の中に溶けていった。
並「・・・」
印「少年にそんなことが・・・」
校長「それから四季君は変わった。どんどん痩せていって、隈も酷くなって・・・学校でも倒れることがたくさんあったよ・・・」
淀「あいつがあんな細いのはそれか・・・」
校長「それに加えて歌も歌えなくなってたし、誰かと喋ることもなくなってたな・・・」
皇「だから頑なに歌ったことを否定したのか・・・」
無「あいつは彼らが死んだのを自分のせいだと思ってる・・・」
花「そうだね・・・」
校長「・・・みんな、四季君のことを過去から引っ張り出してくれないかな?」
淀「・・・」
校長「四季君は優しいからきっと自分は幸せになっちゃいけないと思ってる」
無「あぁ」
校長「でもきっと四季君はまた歌いたいと思ってると思うんだ・・・」
皇「・・・」
校長「月日が経った今でも四季君の心にはあの日の雨が止むことはなく、降り続けている」
百「そうだな・・・」
校長「君達ならその雨を晴れにすることができると思うんだ!実際に僕が最後に見た時の四季君よりも君達と一緒にいる時の四季君はあの頃の・・・悲劇が起こる前の四季君に戻ってるみたいだったし・・・・・・だから────」
花「任せてください!」
校長「!!」
皇「四季は俺達の仲間だ。見捨てたりなんかしない」
並「四季君は僕達の大切な友達です!」
朽「後輩を見捨てたりなんかしないっす」
無「四季のことは任せてください」
校長「・・・うん、ありがとう」
皆さん、こんにちは!
★HOSI★です!
第八話「君の傷跡」をご視聴いただきありがとうございます!
四季君の過去が完全に明かされましたね!
次回も読んでいただけると嬉しいです!
→次回
「話をさせてよ・・・」
コメント
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泣かせに来てますよね…?過去が悲しすぎて…( ; ; )今後の展開も楽しみにしています!!