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「…はぁ」
僕は食卓に付くなりでかいため息をついてしまった。
「どうしたの?ご飯食べたくないとか?」
「いや…お腹は空いてるよ。
いや、そうじゃなくてね、
学校で俺の頭を悩ませるやつがいるの」
母さんは一瞬黙った。
「…美味いな」「今言う?!」
父さんの場違い発言に敏感になるほど、
悩ましく思っているみたいだ…。
自分では全く気づかないものだな。
「それで?」
「あぁ、それでその男の子が―」
覚えている全てのことを話した。
陰口を叩かれたこと、
嘲笑されたこと、全てだ。
「気にすることないよ、
咲ちゃんはね、咲ちゃんらしく居てほしいよ。」
「環境も違うんだから、
無理に向き合わないのよ。」
「…ありがとう、母さん。」
僕は、有り難い助言を貰ったようだ。
だが、リロードは未だされている。
(…だが、この弾丸も治まってきたか。)
「ごめん、今日は早く寝るよ。」
「…分かったよ、おやすみ」
「おやすみ」
洗面台に行き、歯を磨いた後階段を上がり、
自室のドアを開けた。
「……。」
明日も、学校…か。
憂鬱とかそういうのじゃない、
胸の中に芽生えてるものの制御が
どこまでできるか、ただただ心配なだけだ。
「…またお腹痛くなるんだろうなぁ」
初日からもう胃痛がある。
つまり余程のストレスとなっているのだ。
「無理だ、やって行ける自信が無い…
またストレスで腹を裂く…なんてことになったら」
中学一年生の三学期頃にストレス性胃腸炎を経験しているのだ。
胃痛があるのはその前兆では……。
「いや、まだ入院生活の方が慣れてるか。」
僕は小さい頃から入退院を繰り返してきた、
人生15年間で1番入っていたのは、
入院専用の6号館だとも思うくらいに何度か入院をしている。
「…………。」
あぁ、また大嫌いな夜明けが来る。
「…でも、行かなきゃ」
僕は腕をまくった。
「傷も増やしちゃうかもなぁ…はぁ…」
アームカットの自傷癖がすっかり定着した僕は
その衝動が日々のストレスで
抑えきれなくなりそうだった。
「はぁ…華澄ぃ」
涙が、真顔のままなのに溢れ出す
暖かい線が伝わって、僕の腕へと滴る。
周りが辛いのかどうかすらわからない、
いやきっと辛いんだ。
だが、何故だろう
(胸の中で、もっと、もっと誰かが咽び泣いてるような)
ぎゅっと胸の傷ごと苦しくなるんだ。
「僕、大丈夫かなぁ」
あぁ、だめだ…更に憎さが増してきた。
「痛ッ…」
気づいたら奥歯が痛くなっていた、
微かに血の味もする。
余程の力で食いしばっていたのだろう。
「……僕が、『怪物のように』強ければ」
フッと目の前が暗くなった。
………………。
(…これは、夢…か)
唯一、落ち着ける場かもしれない
(いや、これは…)
「悪夢……ッ」
ちくしょう、ちくしょう…
僕はまだ、幸せになってはいけないのか。
僕はまた、幸せを逃さなければいけないのか。
暗闇の夢で、ただただ漂っていた。