テラーノベル
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目を開けば、相変わらずあまり表情の動かない少年がこちらを見つめていた。
「あ…らっだぁ。ごめん、寝過ごしてたかな。今何時…」
「レウさんっ…よかった、」
「え、」
強張っていた顔がふにゃっと緩んで、らっだぁは俺の腕に抱きついてくる。
心配してくれてたんだな。
「ごめんね、心配させて。俺は大丈夫だよ。」
そう言っても、らっだぁはなかなか離れてくれない。
「そうだ、ちょっと時間過ぎちゃったけど、ベッドとか買いに行こう。昨日決めてたし。」
「…ん。」
どうすればいいかわからなくて、とりあえず話を逸らす。
らっだぁはこくりと頷いて、やっと腕を離した。
…楽しみだったのかな。
「じゃあちょっと準備してくるから、待ってて。」
そうひと声かけて、急いで着替えに向かう。
誰かと生活するって、こういうことなんだ。
「らっだぁ、お待たせ。行こっか。」
「うん。」
電車に揺られて、この辺でもかなり大きいホームセンターに向かう。
らっだぁと一緒に暮らすことになった以上、身の回りのものを整えなければならない。
しかしベッドを買うのに電車に乗るのは無理があるので、それだけは宅急便で送ってもらうことにする。
俺も久々にまともな生活を送ることになったし、日用品などの必需品を買わないと。
「…私服、かっこいいね。」
「へぁっ?」
突然、ぽつりとらっだぁが呟く。
やけに今日はこっち見てくるなあとは思ってたけど、…かっこいいかな。
そういえば、らっだぁの前だとスーツか部屋着だけしか着てないっけ。
「あー…確かに、らっだぁと一緒にいるときに私服は初めてか。」
「うん、似合う。」
ストレートに感情を伝えてくれるところが、子供っぽくて少し愛おしい。
「あ、電車来たよ!」
「はーい。」
ふたりで走って改札を通る。
この感覚、久しぶりだな。
…あと、褒められるのはなんか恥ずかしい。
「めっちゃ買ったねえ…。」
「そう?」
「なんでそんな平然としてんの…?」
久々の買い物に疲弊している俺に比べて、全く動じていないらっだぁ。
子供の体力は未知数すぎる。
…というよりかは、俺の体力が衰えてるってほうが正しいんだろうけど。
にしても、
「これどうやって持って帰ろう…きょーさん呼ぶか…?」
「ひとりで持てるけど。」
「いや危ないっていくらなんでも。」
「別にそんな重くないし、レウさん疲れてると思うから俺がやる。」
「マジで…?」
心配する俺を横目に、らっだぁは大量の荷物を軽々と持ち上げた。
「…子供ってすごいな。」
もうそう言うしか言い訳も状況の説明もつかないので呟く。
世界の常識をイマイチ掴みきれていないのは、あまりにも社内暮らししすぎたせいだろう、たぶん。
「ベッドってどうするの?」
「あ、もう通信販売で買ったから、今週中には届くと思うよ。」
「そうじゃなくて、部屋の…」
「…あ。」
やばい、買ったは良かったものの、買ったものをねじ込むスペースが家に無い。
一人暮らし生活(ほぼ家には居ない)をずっと続けていたから、二人分のものが入る隙なんかないし。
この際、引っ越すか。
「んー…じゃあ、今より広い家に引っ越そうか。ふたりで暮らせるように。」
「! …うん。」
らっだぁの顔に、一瞬喜びの色が見えた。
あまり表情が変わらないけれど、こういうところはわかりやすいなぁ。
またきょーさん達呼んで、引っ越しの連絡ついでに手伝ってもらうか。
そういえば、今の家に住み始めたときもきょーさん達が手伝ってくれたんだっけ。
懐かしいな。
…てか、お金足りるかなぁ。
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