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「あ。姉さんも呪い師よ。……うちの家族全員呪い師だけど……。両親はやっぱり旅行中なの」
呉林の不思議な力を家族で持っているなんて信じられなかった。私は頭が浮いてくるような感覚に襲われる。
呉林の姉は慎重に言葉を噤む。
「あの店主は笹井さんっていう名なのだけど、昔から世界各地でコーヒー豆を採取しているのよ。それでその頃、私にコーヒー豆で不思議なものを手に入れたからと、相談してきたのよ」
「不思議なコーヒー豆ですか?」
私は一連の夢が治るのではと期待に胸躍る。
「ええ。なんでも。南米で呪術に使用されているコーヒー豆を、ただで大量に貰ったそうなの。後、うちは守秘義務が弱いの。依頼人もそれは承知の上よ」
「呪術に使う……」
私は一瞬、訝しんだが現実に身に覚えがありすぎて、すんなりと受け入れることにした。安浦はテーブルの上のせんべいを吟味していた。
「そうなの。それで、姉さんは危険を察知して、販売はしないほうがいいって……」
呉林は青い顔をしている。
「その呪術に使われているコーヒー豆が、あのオリジナルコーヒーだったって訳ですね」
私は結論を早めた。
「そうね。私も飲んだから間違いはないわ」
「え?」
私は呉林の姉の顔をまじまじと見た。
「だって、飲んでみないと私の能力では解らないのよ」
この人は、間違いなく呉林の姉だった……。
「でも、不思議な体験は一度もしてないわ」
「そうなのよ。姉さんには抗体があるのかも」
呉林姉妹は不思議がったが、
「何時頃飲んだんですか?」
「かなり前、あなたたちが飲む前よ」
私はそれも何らかの不思議な能力のせいなのではと考えることにした。私にも不思議な能力があれば今でも普通に暮らせられるのに……。
「ぶしつけですが。これから、俺たちはどうしたら、この一連の夢が無くなるんですか」
私は妬みの気持ちを隠して声を上げる。
「恐らく、南米ではコーヒー豆を今でも何かの呪術に使っているわ。そこで、その呪術を取り仕切っているシャーマンをどうにかすれば」
「治るんですね!」
私は喜びを声に出した。
「そうね。きっと、治ると思うわ……」
霧画は頷くようで俯くような感じで答えた。
「あ、それと赤羽さん。異界の者とまた戦ったのね。すごいわ」