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奨也が長寿郎を倒してから数日後、福岡分校の静けさは、またしても乱されることになった。今度の刺客は、禪院家本家でも屈指の実力者、禪院直哉と直毘人。二人は「投射呪法」という、攻防一体の高難度術式を駆使することで知られていた。
奨也が福岡分校の校庭で訓練を行っている最中、突然空気が張り詰めた。遠くから歩み寄る足音が聞こえる。
「よう、奨也。俺らを倒して禪院家をどうにかできると思ってんの?」
軽薄な笑みを浮かべながら姿を現したのは直哉だった。隣には、直哉よりも落ち着いた雰囲気を漂わせる直毘人が立っていた。
「禪院奨也、随分と騒がしいことをしてくれたな。本家の名を汚す行為、看過できん。」直毘人は冷たい目で奨也を睨みつけた。
奨也はハンドスピナーを回しながら冷静に応じる。
「わざわざ二人で来るなんて、よっぽど俺が怖いんだな。」
直哉が一歩前に出ると、術式が発動した。彼の視界を中心に空間が歪むように感じた次の瞬間、直哉は瞬時に奨也の目の前に現れた。
「どうだ?速すぎて追いつかんやろ?」直哉は自信満々に言い放つ。
投射呪法は、1秒間の動きを24フレームに分割して頭の中で再生し、それを忠実にトレースする術式だ。この術式の特性によって、彼らの動きは予測困難であり、反応速度を超越していた。
奨也は辛うじて攻撃を回避しながら、冷静に分析を始める。
「なるほど。動きを頭の中で分割してトレースするタイプの術式か…。だが、それなら隙もあるはずだ。」
一方、直毘人は距離を取りながら大太刀を構え、奨也の隙を伺っていた。直毘人もまた投射呪法の使い手であり、彼の剣技は鋭く正確だった。
「お前が相手にしてきた連中とは訳が違うぞ、奨也。」
直毘人は一瞬で間合いを詰め、巨大な剣を振り下ろした。その動きは24フレームに分割された精密な軌道に基づいており、奨也はギリギリで攻撃をかわした。
奨也は投射呪法の仕組みを見抜くため、わざと直哉の攻撃を引きつけた。彼のハンドスピナーが高速回転を始めると、空気の分子が圧縮され、敵の動きを歪ませるような錯覚を生み出す。
「お前らの動き、確かに速い。でも、それに頼りすぎだ。」
奨也は投射呪法の「トレース」を妨害するため、相手の視界を一時的に曇らせる術式を展開。これにより、直哉と直毘人の動きは鈍り、攻撃のタイミングが乱れた。
「くっ、こいつ…俺たちの術式の穴を見つけやがったか!」直哉は苛立ちながら叫んだ。
奨也は冷静に反撃し、ハンドスピナーの術式を最大限に発動。空気を高密度に圧縮し、周囲を爆発的な衝撃波で覆った。直哉と直毘人はそれを避けきれず、吹き飛ばされた。