「…あら、さっきの所ね」
ここが入学式…というものをやる所なのかしら?
「まったくもう。新入生が2人足りないので探しに行っていたんです」
「…静葉、あの人達コソコソ話してるね」
「コソコソの域を超えていますよ」
「こほん。さあ、寮分けがまだなのは君達だけですよ、狸くんは私が預かっておきますので」
少し迷い狸が可哀想になってきたわ…
とりあえず、あそこの鏡に行ったら幻想郷に帰れるのかしら?
早く…穣子と仲直りをしないと…
「汝の名を告げよ」
「秋静葉よ」
「フランドール・スカーレットよ!」
「秋静葉…フランドール・スカーレット…」
「汝の魂のかたちは…」
「…」
「…?」
急に沈黙をしてどうしたのかしら…?
「わからぬ」
「なんですって?」
「まぁこうなるとは予想はついていたけれど…」
「この者達からは、魔力の波長が一切感じられない」
「だからそうなんだって!」
少しガヤガヤとしてきたわね…
「魔法を使えない人間を黒き馬車が迎えに行くなんてありえない!」
「だから人間じゃあないのよ…!」
「…なんですって?」
ずっと勘違いされるのも往生際が悪いから今の内に誤解を解かないといけないわね…
「私は紅葉を司る神様で…」
「私は何でも破壊できる吸血鬼!」
「…どういうことです?」
「要するに、この世界の人達とは違う、ということよ…。貴方達人間でしょう?私達は人間じゃない種族として認識してもらうと嬉しいわ」
「あと!私は吸血鬼だから日光の下は歩けないから後で日傘貸してね!」
「ず、頭痛がしてきました…。とりあえず、貴方達は普通の人では無いということですね?」
「えぇ、そうよ」
なんとか誤解は解けたみたいね…
この調子でことが進んでくれると嬉しいんだけれど…
「ですが…それとこれとは別です…。一体なぜ…」
「もごもご…!ぷはっ!」
あら、迷い狸まだいたのね
「だったらその席、オレ様に譲るんだゾ!」
「あっ待ちなさい!この狸!」
「ん”な”〜〜〜!」
ブォン先程の様に青い炎が出る
「あっははは!さっきの炎だ!」
「うわぁ!あちちち!尻に火が!」
あの人…中々に可哀想ね…
「誰かあの狸を捕まえてください!」
「チッ…かったりぃな…」
「あら、狩りはお得意でしょ?丸々太った絶好のおやつじゃない」
あの人達は物騒な事を言ってるわね…
「違反者は見逃せないからね、さっさと済ませるとしよう」
赤髪の少年がそう言った
「能力が使えないのは辛いわね…」
「あんな狸、きゅっとしてどっかーん!で、すぐ倒せるのに…」
私は穣子より神様としては人気が少ないのだけれど…
能力を使えば、少しはあの狸の足を止められる気がするのに…
残念だわ…